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コロナ禍の映画界「今はどうにかなっているが、これが続くと危ない」

興行収入は前年の55%。劇場に助成金はあるが、配給会社には寄付もなし

古賀太 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

「配信で魅力を知ったお客さんが劇場に来てくれる」

 コロナ禍対策では、製作も配給も興行もお金と手間をかけて苦労してきた。フリーの映画プロデューサーのA氏によれば、制作現場の対応は会社によってさまざまという。東宝のように自社が幹事の作品制作を今春まで中止しているところもある。Netflix(ネットフリックス)やアマゾンのように週に2、3回PCR検査を義務付けている外資系もあれば、リハーサルまではキャストにもマスクをつけさせる会社や、スタッフにはマスクに加えてフェイスシールドを義務付ける会社もあるという。

 配給しても一般向けの試写はできないし、初日の舞台挨拶で衝立を置いたり、舞台に近い席を空けたり、小さな拍手にしてもらったり。劇場では入場の際に検温したり毎回座席を消毒したり、イオンシネマのように今も座席を減らし一部の劇場にパーテーションを作ったところもある。

2020年5月、感染防止策として、隣り合う席を座れないようにしている大阪市の「新世界国際劇場」。こうした措置をとっている映画館はいまでも少なくない拡大2020年5月、感染防止策として隣り合う席を座れないようにした大阪市の「新世界国際劇場」。こうした措置をとっている映画館は今でも少なくない

 東映系のシネコン、ティ・ジョイ興行部劇場運営室運営管理チームの田中裕行さんは「2019年の興行がよかったので、昨年は何とか経営できたが、今年以降は作品次第でわからない」と言う。劇場にも本社にも問い合わせは増えたが「映画館が安心、安全ということがまだみなさんに伝わっていない」とも。確かに映画館でクラスターは一度も発生していない。

 コロナ禍で在宅が増えてネットフリックスなどの配信が定着したことに対して、同じティ・ジョイ興行部番組編成室番組編成チームの親川拓海さんは「5年くらいかけて起きると思っていたことが1年で起きた。そこでわかったのは配信で映像の魅力を知ったお客さんが特別な体験として劇場に来てくれること。大きなスクリーンで感動を共有できることに改めて気づいたのでは」と語った。

 客層について親川さんは

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筆者

古賀太

古賀太(こが・ふとし) 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

1961年生まれ。国際交流基金勤務後、朝日新聞社の文化事業部企画委員や文化部記者を経て、2009年より日本大学芸術学部映画学科教授。専門は映画史と映画ビジネス。訳書に『魔術師メリエス――映画の世紀を開いたわが祖父の生涯』(マドレーヌ・マルテット=メリエス著、フィルムアート社)、共著に『日本映画史叢書15 日本映画の誕生』(岩本憲児編、森話社)など。個人ブログ「そして、人生も映画も続く」をほぼ毎日更新中。http://images2.cocolog-nifty.com/

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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