勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
「同姓がイヤなら通称を使えばいいじゃない」という浮世離れ感
男女共同参画担当相に就任した参議院議員の丸川珠代氏が、選択的夫婦別姓に反対していたことが発覚し、波紋が広がっています。
自民党の国会議員50名が、選択的夫婦別姓制度への反対を呼びかける書状を、2021年1月30日付で埼玉県議会議員宛てに送った際、丸川氏もそこに名を連ねていたのです。
「強制的夫婦同姓」とも言うべき現行の婚姻制度を是正するよう国連の女子差別撤廃委員会から再三勧告を受けているにもかかわらず、それを温存しようという考えの持ち主が、男女共同参画担当相に就くことは大きな矛盾です。
かつての記事『杉田水脈議員の“名誉男性活躍”が止まらない』(「論座」2020年10月1日)では、自民党の杉田水脈衆議院議員が、自民党内の性暴力被害対策の予算などを議論する会合において、「女性はいくらでも嘘をつく」と発言した件について書きました。
記事の中では、杉田氏のような人物がその会合に出席していること自体が「不適材不適所」だと指摘しましたが、今回の丸川氏の件も同様に、明らかな「不適材不適所」でしょう。大臣というポストを考えると、その影響はより深刻かもしれません。
これは、温暖化対策に反対する石炭開発企業の役員が環境大臣に抜擢されるようなものではないでしょうか。それが環境政策を愚弄し、「進める気は無い」というメッセージを与えるのと同様、男女共同参画推進政策自体を否定している意味を持つと思います。