2021年03月17日
2021年3月2日、5歳の男児を餓死させたとして母親(I)とその友人(A)が保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された福岡の事件は、少しずつ全容が明らかになっている。発生から10日過ぎても相変わらずひとびとの関心を惹き続けているのは、事件による残酷さだけでなくAによるIの支配をどうとらえたらいいのかという謎をはらんでいるからだろう。
洗脳とかマインドコントロールという言葉でくくるのは簡単だが、その基本的仕組みは私たちの日常生活でもよく見受けられることをお伝えしたい。悲惨なひとりの虐待死事件の背後には、かろうじて生きているために表面化しないだけで、紙一重の状況に置かれている子どもがその数倍、数十倍存在していることを忘れたくないからだ。
また、Iのような被害者としての女性だけが語られがちだが、男性よりも体格でも経済力でも劣位である女性が、どのようにして他者を服従させて支配するかについても考えてみたい。
この事件の報道を目にしたとき、ふたつの事件を思い出した。いずれも主犯は中高年の女性であり、自分の家族に他者を引きずり込み、時には他者の家族を乗っ取ることで殺害に至った事件である。
ふたつめは2020年10月25日に発生した滋賀愛荘同居男性餓死事件と呼ばれるものだ。25歳の男性が体重30キロ台の飢餓状態で死亡したのをうけ、11月には同居していた55歳の女性(K)とその息子(19歳)が逮捕された。Kにつづき今年に入って未成年の長男も傷害致死罪などで起訴された。これは今回の事件と重なる部分が多いので、もう少し述べよう。
その後の警察の取り調べによるとKはこれまでにも数人の男性と同居し、暴力をふるって金銭を取り上げる行為を繰り返しており、それらの容疑で再逮捕された。共通したパターンは、ことば巧みにきっかけをつくり自宅に招き入れ、奇妙な同居生活をしながら金銭を巻き上げ、時には暴力をふるいながら徐々に思い通りにしていくというものだ。中には、被害男性同様に食事制限をされて低栄養状態になり、命からがら脱出した男性もいたという。
25歳の男性が、なぜ鍵もかかっていないのに逃げ出しもせず、身長163センチで30キロ台という飢餓状態のまま亡くなったのか。おそらく
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