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【公演評】月組『ダル・レークの恋』

往年の名作で放つ大人の色気――月城かなとの完成された男役に酔う

さかせがわ猫丸 フリーライター


 月組公演グランド・ミュージカル『ダル・レークの恋』が3月15日、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで初日を迎えました。この作品は、1959年に菊田一夫氏原作、春日野八千代さん演出・主演で初演され、1997年に麻路さきさん、2007年には瀬奈じゅんさん主演で再演、時代を越えて愛されてきました。インド・カシミールのダル湖を舞台に、若き騎兵大尉ラッチマンと貴族の娘カマラの息詰まる恋は、古き良き宝塚の浪漫にあふれています。

 主演をつとめるのは月城かなとさん。端正なマスクと上品な佇まいは往年の名作を演じるにふさわしく、物語の面白さだけでなく、月城さん自身の魅力にも酔いしれる作品となりました(以下、ネタバレあります)。

ミステリアスで美しい月城

 ハンサムという表現がこれほどふさわしい人がいるでしょうか。端正なマスクとクラシカルな雰囲気が魅力の月城さんもまた、スターひしめく95期生の一人です。2017年に雪組から月組に組替え。2018年の大劇場公演『エリザベート』ではルキーニ役でしたが、途中、フランツ・ヨーゼフの代役もつとめ、実力の高さも見せつけました。

 ダル・レークのラッチマンと言えば “色気のある男”の代名詞。完成された男役スターとして今、光り輝く月城さんにとって最高のハマり役となりました。

――インド最北部のカシミール。ベナレスの領主チャンドラ・クマール(千海華蘭)の孫娘カマラ(海乃美月)は、ひと夏を過ごしていたこの地で、騎兵大尉のラッチマン(月城)と恋に落ちた。だが身分違いの恋の噂は、王族のみならず新聞記者の注目をも集めてしまう。祖母インディラ(梨花ますみ)から諌められたカマラは、心ならずもラッチマンに冷たく別れを告げるのだった。

 インドの騎兵大尉の衣装に身を包んだ月城さんは、まさに白馬に乗った王子様のよう。髪を完全に隠してしまうターバンも、端正なマスクを際立させています。しかし、ラッチマンは平民であるため、カマラが夢中になっていることに、家族は気が気でありません。特にカマラのいとこクリスナ(夢奈瑠音)の妻アルマ(夏月都)は、「あの馬の骨」などとひどいののしりようです。

 そんな世間の噂などどこ吹く風。ラッチマンは何物にも臆することのない堂々とした紳士で、ともすれば尊大にも見えるほどです。カッコいいんだけど、なにか裏があるようにも感じて、モヤモヤするのが、もう月城さんの術中にはまっているかも?ミステリアスな雰囲気漂うクールな男が、2幕で見せる本当の姿でお客さまをグッと引き付けます。

 終始落ち着いた演技で、名台詞「来るんですか、来ないんですか」に加え、“ダル・レークといえば”の名場面で、大人の色気もピークに達します。役者として、男役として、月城さんの完成度がたっぷり味わえる舞台となりました。

◆公演情報◆
『ダル・レークの恋』
2021年3月14日(日)~3月21日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式ホームページ
[スタッフ]
作:菊田一夫
監修:酒井澄夫
潤色・演出:谷貴矢

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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