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「スッキリ」にアイヌを「あ、犬!」と言わせたのは日本政府である

アイヌへの「ジェノサイド」を謝罪し先住権を認めるべきだ

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

“被告席”にすわるべき日本政府・北海道庁

 今回、メディアおよび世論は機敏に反応し、日本テレビは直ちに謝罪した。ひとまずこの事実は、当然のこととはいえ良かったと思う。また例えば北海道アイヌ協会が、局としての認識、原因究明や再発防止を日テレに機敏に申し入れた事実も同様である。

 ただ私は、“被告席”にすわるべき当事者が欠けていると思う。そこに、日本政府・北海道庁を座らせるべきである。ヘイトスピーチを行うのは個人だが、それを許す土壌は、政府・道庁によって歴史的に作られてきた。

 元々、日本のアイヌ政策は、とうてい国際的な水準に沿うものではなかった。国連は2007年、「先住民族の権利に関する国連宣言」を採択した。その際日本政府はこれに賛成したが、アイヌに対する先住権の保障を、いまだにかたくなに拒んでいる。

1992年3月27日、東京都千代田区
拡大北海道と首都圏に住むアイヌが北海道旧土人保護法撤廃と新法制定を訴えたデモ=1992年3月27日、東京都千代田区

 なるほど2019年に成立したアイヌ新法では、アイヌを「先住民族」と明記した。以前の「旧土人保護法」はもちろん、1997年に施行された「アイヌ文化振興法」を思えば、これは画期的だった。だがアイヌ新法は、先住権(生活様式等をみずから選ぶ自決権、同意なく没収された土地・資源の返還要求権・賠償請求権等)の保障とは無縁である。

 これを保障するためには、アイヌに対して日本政府が行ってきた「同化政策」についての反省と謝罪がなければならないが、政府はそれに背を向ける(杉田「「アイヌ新法」はアイヌの先住権を葬る欠陥法」19年4月17日)。道庁もそうである。2018年、「北海道150年」を祝う大規模な式典・関連事業を行いながら、知事はついに同化政策について謝罪しなかった(杉田「むしろ「シャクシャイン独立戦争350年」事業を」18年8月20日)。

日本政府のジェノサイド

 日本政府・道庁(当初は開拓使)はこの150年、アイヌに対して何を行ったのか。

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

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