大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター
演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
異能力アクションバトルに新たな展開
舞台『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』が上演される。
朝霧カフカ原作、春河35漫画によるコミックス『文豪ストレイドッグス』は中島敦、太宰治、芥川龍之介など文豪の名を懐くキャラクターたちが繰り広げる異能力アクションバトル。2017年に初めて舞台化され、今回はシリーズ第5弾となる。映画『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』が原作で、朝霧カフカが舞台版の脚本を担当することでも注目を集める。
異能力者が次々に自らの異能を使い自殺するという不可解な「ヨコハマ連続自殺事件」の発生に端を発して、絡み合う因縁より生まれ出る、さらなる物語が描かれる。
稽古が佳境に差し掛かる頃、第1作より演出を務める中屋敷法仁、第1作より中島敦役を演じる鳥越裕貴に話を伺った。作品にかける思いや2.5次元演劇について、さらには中屋敷が発信する「演劇LOVE」とは何か、語ってもらった。
――『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』は舞台版としては初めて、原作の朝霧カフカ先生が脚本を手掛けられます。
中屋敷:2018年に公開された映画『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』を舞台作品にするのですが、この3年の間に『文豪ストレイドッグス』のアニメ・漫画・小説でいろいろな物語の展開があったんですね。3年前に明かされていなかったストーリーや人物のバックボーンが出てきた。今回舞台化するにあたり、この3年で明らかにされた情報も盛り込んで、次の10年20年にむけての新しい展開になったかなと思います。これまでの舞台化は小説やアニメを演劇にリサイズしたということだったんですけれども、今回は舞台で初めて明らかになる情報もたくさんある。原作の朝霧先生に責任を取っていただいて(笑)脚本を書いてもらわないといけないということになりました。様々なメディア展開する作品の中で、新しい情報があるということが今回の一番の特徴かなと思います。
鳥越:一『文スト』ファンとして、「ここでこんなことが進んでいたんだ」と初めて知ることができるのも面白いし、初めて明らかになる『文スト』を僕らが作り上げるというのもめったにできない経験。声優さんたちもやっていらっしゃらないことが初めてできる貴重な機会なので、丁寧に作っていきたいと思います。
――舞台化第1作から関わっていらっしゃるお二人から見て、『文豪ストレイドッグス』という作品の魅力は?
中屋敷:魅力はたくさんありますが、文豪の名前を懐いたキャラクターたちが持つ特殊な異能力が一番ですね。異能力と呼ばれる様々な特殊能力を持っているんですけれども、様々な文豪が作った作品名になぞらえられているというところが非常に個性豊かで面白いなと思います。なおかつ、ただ単に戦うだけでなく、キャラクターの内面や人間性までえぐり取るような切実なぶつかり合いになっている。単純に文豪の名前を使って戦っていると誤解されるのは非常にいやなんです。
鳥越:(笑)
中屋敷:原作の朝霧先生が文豪の名前を使って、人間の存在というものを描き出している中で、バトルやサスペンスがある。文豪を題材にしているところがじわじわと作品世界を豊かにしているなと感じています。
鳥越:朝霧先生とお話をさせていただいたときに「自分自身でも、この先どうなるかわからない」とおっしゃっていたんです。もちろんある一定のところは決まっているにしても、たどり着くまでに決まっていないルートを行くなんて、天才しかできないですよね。読み手としても演じ手としても、天才に転がされている感があります。脚本を読んで稽古をして、舞台に立ってキャラクターの関係性を演じていると、作品をより深く知ることができる。この作品に関して言えば、まだまだ自分では足りないところがあるなということを演じながら感じています。『文スト』、深すぎます。
◆公演情報◆
舞台「文豪ストレイドッグス DEAD APPLE」
原作:映画「文豪ストレイドッグス DEAD APPLE(デッドアップル)」
大阪:2021年4月16日(金)~4月18日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WW ホール
東京:2021年4月23日(金)~5月5日(水・祝) 日本青年館ホール
公式サイト
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[スタッフ]
脚本:朝霧カフカ
脚本協力:内田裕基
演出:中屋敷法仁
協力:春河35
[出演]
鳥越裕貴、桑江咲菜、橋本祥平、植田圭輔、田淵累生、岸本勇太、村田 充 ほか
★【Streaming+】【PIA LIVE STREAM】でのライブ配信決定!
東京公演全16 公演のライブ配信を実施。ライブ配信チケットには、公演ごとに異なるデザインのブロマイドの特典付き!公演当日の都合が合わない方も、アーカイブ配信期間中は何度でもご覧頂けます。《配信料金》 2,500 円(税込)
※詳細は公式サイトをご確認ください。
〈中屋敷法仁プロフィル〉
高校在学中に発表した『贋作マクベス』にて、第49回全国高等学校演劇大会・最優秀創作脚本賞を受賞。青山学院大学在学中に「柿喰う客」を旗上げ、06年に劇団化。旗揚げ以降、全ての作品の作・演出を手掛ける。外部プロデュース作品も多数演出。劇団公演以外の主な演出作品に『半神』、『サクラパパオー』、『黒子のバスケ』、『柔道少年』、『露出狂』など。
★公式twitter
〈鳥越裕貴プロフィル〉
2010年に初舞台。主な出演作品は、舞台では『弱虫ペダル』、ミュージカル『刀剣乱舞』、『プレイハウス』、『改竄・熱海殺人事件』モンテカルロ・イリュージョン、『結婚しないの!?小山内三兄弟』など。
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