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劇団☆新感線の大阪公演開幕! 古田新太&阿部サダヲ取材会レポート

「Yellow⚡新感線」で皆がにいーっと笑って幸せに

米満ゆうこ フリーライター


 劇団☆新感線が2年ぶりに大阪に戻ってきた。コロナ禍の中、「密にならない、短い上演時間で、新感線らしい、観たお客様が元気になる作品」を届けようと、名付けて「Yellow⚡新感線」を発信。2021年劇団☆新感線41周年春興行 Yellow⚡新感線『月影花之丞大逆転』が、5月10日までオリックス劇場で上演中だ。

 同作は、1996年、2003年に上演された『花の紅天狗』で木野花が演じたハチャメチャなテンションのキャラクター、月影花之丞が再登場する。大阪公演を目前に、主演の古田新太と、劇団☆新感線には5度目の出演となる阿部サダヲが大阪市内で取材会を開いた。

歌って、踊って、アクションありで楽しめる

拡大古田新太(右)と阿部サダヲ=米満ゆうこ 撮影

――まず、お二人の役どころは?

古田:おいらは貫禄があってキャリアを積んでいると思われている劇団の新人です(一同笑)。西野七瀬ちゃんとサダヲとおいらは劇団の新人で、その人たちをメインに次の公演をやろうという月影先生の発案で…、あのう、ストーリーを話していてもそんな面白くないですよね(笑)。いまいちパーッとしないお話なんで。

阿部:ハハハハッ。僕の役は、保険の外交員で契約が取りたくて劇団に入った人で、段々芝居が楽しくなっていくという。でも、外交員というより劇中劇の役のほうが多いんです。

古田:7割が劇中劇ですよね。劇団員が舞台上で稽古しているのを延々と見せられるという。それが、時々、現実に戻って大変な事件が起きるんですが、さほど、そこも特筆すべきではない(笑)。オマージュが多くて、『花の紅天狗』を凝縮した、煮詰めた感じです。色んなオマージュを掛け合わせたために、何なのか分からなくなっている状態で、回想シーンがミュージカルシーンになってたりとか。あのタイトルなのにその曲なのかよ、途中で曲が変わってんじゃんと。全部のオマージュが分かる人はいないと思います(笑)。新旧織り交ぜているから、10代だったら分かるものや50代以上じゃないと分からないものもある。歌って踊ってアクションシーンもありの楽しめるおポンチものです。

――見どころが多そうですね。

古田:古い新感線ファンの方は、僕とサダヲとのラスト近くの劇中劇のシーンで「あぁ、そのセリフ言っちゃうんだ」と思うはず。東京では拍手喝采でした。

阿部:バカバカしくて何も考えなくてもいい面白さです。東京でちょこちょこ変えたシーンをいのうえひでのりさんがさらに増して、よく分からないモノマネのシーンが増えてます(笑)。

――東京公演の手ごたえは?

古田:皆さん楽しかったという声が多いです。ひとつ、不思議な現象が起きていまして、東京でご覧になられたおばさん以上の女優さんが必ず泣く。なぜだかはよく分かんないです(笑)。やはり木野さんの意味のない説得力が素晴らしいんだと思います。皆、勇気づけられた、浄化されたとか言ってます(笑)。

阿部:お客さんに元気になったと言ってもらえるのはうれしいですね。ただ、劇団ってこういうものだとこの芝居を見て言ってほしくないです(笑)。あんな劇団はないので。でも、お芝居を始める人がいたり、身近に感じてもらえたりしたらうれしいですね。

――東京公演では何かエピソードはありましたか。

古田:このご時世なんで、打ち上げもありませんし、おいらがご飯を誘っても誰も来ない(笑)。なんて虚しい。大阪は福島で飲めると思ったのに、飲食店は8時で終了かよと。エピソードはそれぐらいですね(一同笑)。

阿部:僕は今回初めて木野さんとご一緒させていただいたんですけど、びっくりしますね。同じ人かなと思うぐらい、毎日違います。何もかも忘れてしまったのかなと思う日もあって(笑)。そこまで突っ走れる先輩を尊敬します。それに、古田さんが対応してくれるので、見ていて楽しくて、本番でも飽きないでやっています。

木野さんが同じセリフを言わせてくれない

拡大古田新太(右)と阿部サダヲ=米満ゆうこ 撮影

――それは木野さんの月影花之丞が楽しみです。

古田:木野さんが舞台を離れたきり帰ってこないという日があって、どこに行ったんだろう、困ったなとおいらたちも思ってたんですが、東京公演の後半になって帰ってくる道が分かったみたいです(笑)。

阿部:本番中に、急に「初めまして」みたいな顔される時があるんですよ(笑)。このシーンどこだっけ?みたいな。それがなくなってきて、新しい道を歩き始めました(笑)。

古田:かなり遠くまで歩けるようになりましたね。

阿部:2時間3分の上演時間だったんですが、今、2時間5分ぐらいになってます。道が増えたから(笑)。

古田:おいらたちは日々、同じセリフを言いたいんだけど、木野さんが言わせてくれないんで(笑)。僕の友達で3回見たヤツがズルいと。3回見てこれだけ変わってるんだったら、もう一回見たいと。

阿部:うちの娘が初見で、木野さんがしゃべんないから分からなかったそうです(笑)。2回見てやっと分かったって言ってました。

――「Yellow⚡新感線」としていつもと違うところは?

古田:新感線は本番が始まる前、全員で楽屋の廊下に集まる「おっと」いう儀式があるんですよ。出演者全員が「といやといや」と順番に言って、最後全員で「おっと」と叫んで、無事を祈るルーティンなんです。いつも50人ぐらいでやって長いんですけど、今回11人だからすぐ終わる。早っ!てなるもんね(笑)。実際に、ドクター・イエローという台数の少ない新幹線を見ると幸せになれるという都市伝説がある。今回は皆さん、お元気ですかという意味を込め、おポンチな新感線を見て、皆が幸せになったらいいなと。

阿部:今回は木野さんがいらっしゃいますし、僕も少しずつ扱い方が分かってきて、皆が進めてくれるからありがたいです。

古田:司会です。司会!

阿部:古田さんが何か言ったら、木野さんが「その通り」と言って、そんなセリフはどこにもないんですけど(笑)。その時間を楽しんでいます。

古田:木野さんが本当のセリフ言わないから、先に進まなくて。本当にセリフを見失った時は、先においらがセリフを言うんだけど、それでもキョトンとしてるから、「こう言いたいんじゃないのか」と促すんですけど、頷くばかり(笑)。

阿部:アハハハハッ。

おいらとサダヲのシーンは一切稽古なし!

拡大古田新太(右)と阿部サダヲ=米満ゆうこ 撮影

――お二人が俳優として、お互いすごいなと思うところは?

古田:おいらはめちゃくちゃサダヲを信頼してるんで。やっていることは、ほぼほぼコントなんですよ。ほかの出演者とは稽古するけど、サダヲとは稽古してないもんね。もうちゃんと突っ込んだら、つまずいてくれるし、おいらがボケてる時は、突っ込んでくれる。サダヲのボケに乗っかって、乗っかりボケに対してボケ返しで去っていくシーンは、本来、稽古しなきゃできないもんなんですけど、しなくてもできる。立ち位置を決めて、いのうえさんの腐れアイデアを体現するだけ(笑)。おいらは楽しいですね。サダヲはどうか知らないけど(笑)。

阿部:僕も楽しいですよ(笑)。古田さんじゃないとやれないこともあるし、劇場全体を愛せてるような、そんな笑いの瞬間はすごいですよね。それに、古田さんの何が起きても絶対に笑わないところもすごいです。僕、木野さんがかんだりしたらすぐ笑っちゃうんですけど、すごく冷静に見てるから怖いですよね(笑)。たまにご自分でアドリブしても絶対、笑わないから。僕、すぐ笑っちゃうんで、僕が笑ってたらそれはアドリブだったってことで(笑)。古田さんは笑わずに真面目にふざけたことが言える。そこがすごいです。

――古田さん、どうして笑わずにいられるのですか(笑)?

古田:心の中では笑っているんですけど、表情には出さない。そりゃ、途中でとんでもないハプニングが起これば笑っちゃいますが、ある程度のことでは笑わない。一回、地震が起きた時は動揺しましたね。その時はセリフが止まりました。不覚にもおいらが動揺したと(笑)。

阿部:しかもライブ配信の日でしたもんね。

古田:ちょうどややこしいセリフを言ってるシーンで、すごい揺れ方だったんです。動揺した自分を恥じました。

阿部:ハハハハッ。

――では最後にメッセージをお願いします。

古田:東京のお客さんは、フレッシュな手探り状態の姿を見たと思うんですが、大阪のお客さんはこなれた中堅漫才師を見られるんじゃないかな。笑い飯、面白いな、華丸大吉、信頼できるなみたいな感じで(笑)。木野先輩のおかげで、新鮮な気持ちでやれてます。僕はノリは大阪のお客さんのほうがいいと思うんですが、ゲラゲラ笑って「つまんなかった」という人が多い(一同笑)。

阿部:どういうことですか(笑)?

古田:貪欲でもっと楽しませろみたいな。

阿部:客席がペンライトを振るシーンがあるんですが、数が徐々に増えていって、その一体感は感動的です。大阪でも見たいです。中にはたぶん、乃木坂で買ったペンライトの人がいたんですが(笑)、それもありです。

古田:大阪の人はペンライト買わないよ。自分ん家にあるやつだよ(笑)。劇場に来るのは怖いと思ってる方もいると思いますが、おいらたちはPCR検査を受けて、劇場も万全を期して対策を練っています。マスクを着けての観劇ですが、皆さん、マスクの下はにぃーっと笑っていると思ってます。元気になれる作品なので、にぃーっとしに来ていただきたいです。

阿部:楽しんでいただけるのを確信しています。2年間、待っていたお客さんを裏切りません。

◆公演情報◆
2021年劇団☆新感線41周年春興行 Yellow⚡新感線『月影花之丞大逆転』
大阪:2021年4月14日(水)~5月10日(月) オリックス劇場
公式ホームページ
[スタッフ]
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
[出演]
古田新太 阿部サダヲ/浜中文一 西野七瀬
河野まさと 村木よし子 山本カナコ 中谷さとみ 保坂エマ 村木仁/木野花

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筆者

米満ゆうこ

米満ゆうこ(よねみつ・ゆうこ) フリーライター

 ブロードウェイでミュージカルを見たのをきっかけに演劇に開眼。国内外の舞台を中心に、音楽、映画などの記事を執筆している。ブロードウェイの観劇歴は25年以上にわたり、〝心の師〟であるアメリカの劇作家トニー・クシュナーや、演出家マイケル・メイヤー、スーザン・ストローマンらを追っかけて現地でも取材をしている。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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