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社会現象となった『PUI PUI モルカー』

 見里朝希監督(1992年生まれ)のテレビシリーズ『PUI PUI モルカー』は今年上半期を代表する大ヒット作となった。わずか2分40秒の短編が週1回全12話、本年1月5日から3月23日までテレビ東京系「きんだーてれび」枠内で放送された。

 放送後は毎週SNSにトレンドワードとして上がり、第3話の見逃し動画再生は380万回を超えた。その人気は海外にも波及し、台湾の地上波テレビ放送では週に32回も放送されるという異常な加熱ぶりだ。全12話の放送終了後も、SNSで13話以降の内容を各々が勝手に創作して発表する「集団幻覚」の場として盛り上がりを続けている。

 ストップモーションのシリーズが毎週民放で放送されたのも、ここまで熱烈な支持を受けたのも、史上初であり空前の快挙と言ってよい。今後も動画配信サービスでの全話配信が継続されるほか、関連グッズやソフト発売が予定されており、社会現象と化した大ブームは続くであろう。

主役級のモルカー「ポテト」。羊毛フェルトの柔らかい質感とつぶらな黒目が愛らしい拡大『PUI PUI モルカー』 主役級のモルカー「ポテト」。羊毛フェルトの柔らかい質感とつぶらな黒目が愛らしい ©見里朝希JGH・シンエイ動画/モルカーズ

 愛らしいモルモットの車たちは羊毛フェルトのパペットで造形され、フワフワ触感を生かした絶妙のアクションを集団で繰り広げる。逆に運転するちょっと身勝手な人間たちはフィギュアや実写の硬質な動きで合成され、様々な技法が混在する。

 基本は伝統的なコマ撮りだが、カメラが縦横無尽に動き回り、爆発や発光エフェクトも派手、カットつなぎのテンポも素早く小気味よい。箱庭風舞台セットの前にカメラを固定し立ち話に終始するような、旧来型コマ撮り作品のおとなしいイメージとは根本的に違う。

 内容もモルカーたちの日常から社会風刺、ハリウッド映画のオマージュ、SF、ホラー、ダンスなど実に多様で飽きさせない。エンターテインメントに徹した面白さは比類がない。

 それでいて、まさにモルモットそのものである生態的な特徴や仕草のタイミングは実にリアルで、

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筆者

叶精二

叶精二(かのう・せいじ) 映像研究家、亜細亜大学・大正大学・女子美術大学・東京工学院講師

映像研究家。亜細亜大学・大正大学・女子美術大学・東京工学院講師。高畑勲・宮崎駿作品研究所代表。著書に『宮崎駿全書』(フィルムアート社)、「『アナと雪の女王』の光と影」(七つ森書館)、『日本のアニメーションを築いた人々 新版』(復刊ドットコム)、共著に『王と鳥 スタジオジブリの原点』(大月書店)、『マンガで探検! アニメーションのひみつ』(全3巻、大月書店)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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