真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター
大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
『向こうの果て』、舞台・ドラマ・小説の連動プロジェクト
ゴツプロ!開幕、塚原大助&関口アナン&皆川暢二インタビュー/上
――律子を演じる小泉さんの印象はいかがですか?
塚原:小泉さんはとても柔軟な方で、パッと出してくる芝居にすごく説得力があります。でも、稽古をしているときに急にスイッチ入れてきたりするんですよね(笑)。今まで台詞も入ってなかったに急にそのスイッチ入れる?って思うんだけど、その変わり方にドキッとするんです。本番中もそういうことが続いていくんだろうなと。
――実際に翻弄されているんですね。
塚原:されてますね。ただ海さんからは、周りの男たちは律子に引っ張られすぎないようにと言われています。どうしても律子と公平は暗い過去を背負っているから、その感覚に引きずられないようにしないといけません。反対に自分たちが引き込んでいく熱量でやらないと、どんどん落ちていってしまうんですよね。
皆川:大助さんが言ったようにまったくオフの時があるんですよ(笑)。でも急にスイッチが入るので、そのチェンジの仕方がすごいなと思います。いろんな面が見られるのですごく面白いですね。
関口:何を考えているんだろうと思う時があります(笑)。芝居の作り方はいろいろあると思うのですが、あまり見たことがない作り方ですよね。
塚原:小泉さんとそういう話をしたことがあるんだけど、普段会話をしていても、会話だけに集中しているわけじゃなく、会話しながらも違うことを考える瞬間があるよねと。そういう感覚を大事にしていて、会話しながらもまったく違うことを考えられるようにできているらしいです。芝居をしているとそこに集中しがちだけど、でも日常だと全然違うことを考えたりするでしょと。そういう余裕って言うのかな、それをすごく大事にしていて、芝居の中にそういう日常の感覚を取り入れているそうです。でも明らかに存在しているんですよ、律子として。
関口:スッと立ち上がるだけ、1歩足を出すだけなんだけど、ふと目がいっちゃう。そういう吸引力みたいなものがあって、自分の身体をちゃんと理解しているのかなと思います、見え方とか。
塚原:絶対的な存在です、唯一無二だと思いますね。
――これまでのゴツプロ!の公演とは違う作品になるのかなと、とても楽しみです。
塚原:今回はドラマもありますが、またそれとは違った演劇ならではの空間になると思います。一歩歩くだけで違う空間へ行きますし、二歩歩いたら幼少時代に戻ったり、空間の中で時代の変化を表現することはドラマではできないです。限られた空間の中でやりますから、とてもダイナミックに見せられるのかなと思っています。
――そして今回は全公演、マルチアングル配信をするんですよね。
塚原:それも大きなチャレンジのひとつで、僕らも初めてだからどうなるのか。今回、初めてなことだらけでヒリヒリするんだけど(笑)。
――(笑)。そのマルチアングルとはどういうものなんでしょう?
塚原:客席に4~5台カメラを置いていて、全体を見る定点カメラもあれば、ひとりの役者だけを追うカメラもある。そのカメラの数だけ画面があるんです。ZOOMの画面みたいな感じですね。今この人が見たいと思ったらその人をメイン画面にして見ることができる。自分でどのアングルにするか選べるんです。すごく演劇に合ってると思うんですよね。それを全公演やります!
――すごい挑戦ですね。
塚原:こういうご時世になかなか劇場に足を運ぶのが難しいじゃないですか。でもKDDIさんから話をいただいて、幸運だなと思いました。KDDIさんもマルチアングルで演劇を配信するのは初めてなんです、音楽やスポーツはあるらしいんですけど。TELASAというテレビ朝日とKDDI(au)が運営している動画配信サービスがあるんですけど、今回、『向こうの果て』のドラマをWOWOWで放送・配信するほかに、TELASAでも配信をするという企画があって、だったら舞台も配信しようと話が広がったんです。
――おもしろい企画ですよね。
塚原:通信環境が良くなったからできることでもあるんですよね。演劇は初日から千穐楽まで毎日芝居は変わっていくし、配信スタッフも本番に向けて準備を重ねていきますが、やっぱり公演を重ねるごとに配信も変わっていくと思うんです。そういう面白さも演劇の醍醐味だなと思います。お客さまが配信で見ても面白いねって言っていただけるように配信のクオリティも上げたいですし、やっぱり劇場でも見たいよねって思ってもらえたらさらにうれしいですよね。
◆公演情報◆
ゴツプロ!第六回公演『向こうの果て』
2021年4月23日(金)~5月5日(水・祝) 下北沢・本多劇場⇒25日~公演中止★4/28~30無観客生配信が決定!
ドラマ版のゲストを迎えて、auスマートパスプレミアムにてマルチアングル生配信を行います。
※「auスマートパスプレミアム」※auユーザー以外もOK!
特設ページはこちら
<生配信スケジュール>■4月28日(水)14:00開始
※アフタートークゲスト:本多愼一郎(本多劇場グループ総支配人)
■4月29日(木・祝)18:00開始
※アフタートークゲスト:内田英治(ドラマ版監督)、柿澤勇人(ドラマ版津田口亮介役)
■4月30日(金)14:00開始
※アフタートークゲスト:松本まりか(ドラマ版主演池松律子役)
公式ホームページ
[スタッフ]
脚本:竹田新
演出:山野海
[出演]
塚原大助、浜谷康幸、佐藤正和、泉知束、かなやす慶行、渡邊聡、44北川
関口アナン、皆川暢二
小泉今日子
[演奏]
小山豊(津軽三味線小山流三代目) ほか
〈塚原大助プロフィル〉
2015年よりゴツプロ!を主宰し、公演のプロデュースも手掛ける。舞台を中心に幅広い表現力を見せ、ふくふくや、ゴツプロ!公演以外に、映画『コンプリシティ/優しい共犯』、映画『ソワレ』テレビ東京系ドラマ24『Iターン』、舞台『後家安とその妹』(明後日プロデュース)、舞台『人間合格』(こまつ座)などに出演。
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〈関口アナンプロフィル〉
1988年、東京都生まれ。イギリス・ロンドンへ2年間の留学後、俳優を志す。映像出演は、NHK『いだてん』、テレ朝『やすらぎの刻〜道』や、映画『ブルーヘブンを君に』(2021年6月公開)、ndjc2020 作品『窓たち』(2021年2月公開)など多数出演。舞台は、ふくふくや、ゴツプロ!の他作品にも多数出演している。次回作は『続・まるは食堂 ~なにごとの おわしますかは 知らねども~』6月16日 ~6月20日 東京芸術劇場シアターウエストにて、出演予定。
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〈皆川暢二プロフィル〉
体育教師を目指し大学に進学したものの、ひょんなきっかけで俳優の道を志す。日本に居辛さを感じワーキングホリデーを活用しカナダへ。思いつきでカナダからアメリカ自転車縦断、アメリカ横断に挑戦。約7,000kmを経てゴールであるニューヨークに到着する。帰国後は自身の手で映画を作りたいという思いが強くなりOne Gooseを発起。2018年映画『メランコリック』を主演兼プロデューサーという形で制作する。
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