劇場に集い、考える。様々な人生、若者の希望、震災、原発……
「いわきアリオス」での歩みを振り返る【下】
萩原宏紀 演劇制作者、いわき芸術文化交流館アリオス企画制作課
若者たちに様々な選択肢を示す

「いわきアリオス演劇部」のメンバー=吉田和誠撮影
2017年からは、若い人材の育成にも力を注いでいる。
「いわきアリオス演劇部」と称して、高校生たちがプロの劇作家の指導を受け、演劇の台本を書き、自分たちの力で上演する活動を3年間続けた。講師は、東京で活動する劇作家・演出家の三浦直之氏と、福島市で活動する同じく劇作家・演出家の大信ペリカン氏の2人に担当していただいた。演劇界の第一線で活躍する三浦氏と、福島市で20年以上、劇団を続けてきた大信氏の2人に講師をお願いしたのは、高校生たちが将来、演劇に関わっていきたいと思ったときに、様々な選択肢があることを知ってもらいたかったからだ。
東京と福島では演劇を取り巻く環境は大きくことなる。地元を離れて東京などで懸命に夢を追うことは素晴らしい。一方で、地元での生活を大切にしながら、家族や仕事を中心に据えつつ、その余暇で演劇活動に取り組むことも、演劇の豊かさのひとつである。道はひとつではない。いや、道などないのかもしれない。ただ、自分が歩みたいと思った道を、自分の足できちんと歩めるようになるための手助けを、「いわきアリオス演劇部」では行ってきた。
この「いわきアリオス演劇部」は、今年より対象を高校生から30歳以下に広げて、さらにパワーアップして継続していく。今後もこの活動にご期待いただけると嬉しく思う。
演劇鑑賞事業についても触れておきたい。
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