大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター
演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
日本オリジナル版初演から10周年、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』日本オリジナルバージョンが記念すべき10周年を迎え、キャストも新たに公演が行われる。
本作は2001年にフランスで生まれ、世界20カ国以上で600万人以上を動員。日本では2010年に宝塚歌劇団によって初演され、2011年に男女出演の日本オリジナル版として新たに誕生したのが、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』<日本オリジナルバージョン>だ。
ジェラール・プレスギュルヴィックが生み出したドラマティックかつロマンティックな音楽。小池修一郎による潤色・演出は迫力の歌とダンスで、若者の疾走感と感受性を巧みに表現し、2017年の新演出からは〝近未来を思わせる、破壊された世界で起こる物語〟という設定を据え、この世の荒廃と、その中でなお煌めく愛の崇高さを、より鮮明に浮かび上がらせた。
日本オリジナル版10周年を迎えた今作でロミオ役として抜擢されたのは黒羽麻璃央と甲斐翔真。黒羽はミュージカル『刀剣乱舞』の三日月宗近役などで高い人気を誇り、昨年はミュージカル『エリザベート』の暗殺者ルキーニ役、ミュージカル『るろうに剣心 京都編』の志々雄真実役と次々難役に抜擢された(いずれも公演中止)。甲斐は、昨年『デスノートTHE MUSICAL』夜神月役で初舞台・初主役を務め、ミュージカル『RENT』ロジャー役、ミュージカル『マリー・アントワネット』フェルセン役と大役に挑み続けている。
黒羽と甲斐に世界中で誰もが知る役であるロミオに挑む今の心境や、自身のミュージカルの原点や魅力について語っていただいた。
――ロミオ役に決まったときの心境は?
黒羽:『ロミオ&ジュリエット』は2年前に(マーキューシオ役で)初めて出演して、「ミュージカルっていいな」と思ったきっかけの作品です。もちろん作品は知っていたけれど、自分が作品のピースになったときに、歌・踊り・芝居のすべてで表現することの贅沢さを感じました。そのときロミオ役を演じていた古川(雄大)くん、(大野)拓朗くんに俳優として嫉妬するというか、「こんなふうに演じられてずるい」みたいな気持ちを持ったんです。実は前回の本番中に(潤色・演出の)小池(修一郎)先生と話す時間があって、「君にはいつかロミオを演じてほしいんだよ」と言っていただきました。「でも、今はマーキューシオを演じているからなぁ」とも言われて。そのときから、ロミオ役のことはやはり意識していました。今回、自分自身がロミオとして再びこの作品に取り組めることに大興奮しました。
甲斐:オーディションを受けてから「決まった」と聞くまで時間が空いたので、正直ダメだったと思っていたんです。嬉しさよりも驚きの方が大きくて、初めは現実味がありませんでした。でも、歌稽古が始まって『ロミオ&ジュリエット』の楽曲を歌い出したときに「ああ、演じるんだなあ」と実感が湧きました。自分の中でロミオとしての気持ちが湧いてきたというか、『ロミオ&ジュリエット』という作品を引っ張っていかないといけない責任感が芽生えました。第一線で活躍されている方々が経験している役なので、誠心誠意務め上げたいなと思います。
――お互いの印象は?
黒羽:甲斐くんは出会ったときから変わってないです。ゴールデン・レトリーバー(笑)。毛がふさふさした大型犬のような感じ。
甲斐:自分とはテンションが似ている気がする。会う前の印象は元気はつらつ、キラキラしているイメージだったんですが、実はわりと冷静なタイプじゃないかなと思って。
黒羽:そうだね。テレビではもう一つギアを上げているけれど、普通にしゃべっていると「機嫌が悪いのかな」と思われる。でも、これが通常の温度です(笑)。甲斐くんとは時間軸とか温度が似ているのかもしれない。
甲斐:道で知っている人に会って、相手が気づいてなかったら声を掛ける?
黒羽:どれくらいの関係の相手かによるなあ。
甲斐:「ちょっと知ってる」くらいの人だったら?
黒羽:目をそらすかな。
甲斐:一緒だ(笑)。
◆公演情報◆
ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
東京:2021年5月21日(金)~6月13日(日) TBS赤坂ACTシアター
大阪:2021年7月3日(土)~7月11日(日) 梅田芸術劇場メインホール
名古屋:2021年7月17日(土)~7月18日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
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[スタッフ]
原作:ウィリアム・シェイクスピア
作:ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出:小池修一郎(宝塚歌劇団)
[出演]
黒羽麻璃央/甲斐翔真(Wキャスト)、伊原六花/天翔愛(Wキャスト)、味方良介/前田公輝(Wキャスト)、新里宏太/大久保祥太郎(Wキャスト)、立石俊樹/吉田広大(Wキャスト)、
春野寿美礼、原田薫、石井一孝、宮川浩、秋園美緒、兼崎健太郎、岡幸二郎、松村雄基
小㞍健太/堀内將平(Kバレエカンパニー)(Wキャスト) ほか
〈黒羽麻璃央プロフィル〉
第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト準グランプリを受賞し、2012年にミュージカル『テニスの王子様』で俳優デビュー。以降、ミュージカル・ストレートプレイ問わず舞台に多数出演。近年は、映画・ドラマやバラエティ番組、情報番組のシーズンレギュラーを務めるなど活躍の場を広げている。近年の主な舞台出演作に、『秒速5センチメートル』、『るろうに剣心 京都編』『エリザベート』(共にコロナにより公演中止)など。
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〈甲斐翔真プロフィル〉
2016年に『仮面ライダーエグゼイド』でドラマ初出演し人気を博す。以降映像を中心に活躍し、2020年に『デスノートTHE MUSICAL』で初舞台にして初主演を務める。以降、ミュージカル俳優としても作品を重ねている。近年の主な舞台出演作に、『マリー・アントワネット』、『RENT』など。
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