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中学教科書『ともに学ぶ人間の歴史』の魅力

「子どもと学ぶ歴史教科書の会」山田麗子さんに聞く

菊地史彦 ケイズワーク代表取締役、東京経済大学大学院(コミュニケーション研究科)講師

歴史教科書の“串”と“団子”

子どもと学ぶ歴史教科書の会[略称:学ぶ会]副代表)にお話をうかがった。

山田麗子さん(拡大「子どもと学ぶ歴史教科書の会」副代表の山田麗子さん
 中学校の教員を長く勤めた山田さんは、13年ほど前、定年より少し早く退職した。韓国史や韓国語、女性史、オーラルヒストリーなどの研究に打ち込みたいと思ったからだ。2010年、日韓交流にかかわっている知人の教員から誘われて、教育学者の安井俊夫氏を中心とする研究会に参加することになった。そこが後に「学び舎教科書」に結実する教科書づくりの場だった。

 山田さんはこんなふうに語る。

 「女性史をもっと重視した教科書をつくりたいという想いはあったので、研究会に誘っていただいたのはうれしかった。80回も検討を重ね、充実した研究会でした」

 「学び舎教科書」の大きな特徴は、教育現場の経験を持つ約30人の教師・元教師が内容の検討や原稿の執筆に携わっていることだ。彼らの教育実践をベースに、生徒たちが興味を持ち授業に参加したいと思うような教科書をつくっていった。だから、いわゆる「通史」とは異なる記述になったりする場合もある。

 「構成段階でプロットはつくるものの、書き手は自分の実践をもとに書くから、流れが時系列通りにならないところも出てきます。ひとつの歴史観を通そうとしていないので、きれいにつながらない場合もある。でも、そこがこの教科書の特徴なんですよ」

 アドバイザーの研究者から、この点で指摘を受けることもあったという。

 「“団子”と“串”に例えていうと、確かに『通史』とか『歴史観』という“串”を重視する考え方はあると思います。ただ、

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筆者

菊地史彦

菊地史彦(きくち・ふみひこ) ケイズワーク代表取締役、東京経済大学大学院(コミュニケーション研究科)講師

1952年、東京生まれ。76年、慶應義塾大学文学部卒業。同年、筑摩書房入社。89年、同社を退社。編集工学研究所などを経て、99年、ケイズワークを設立。企業の組織・コミュニケーション課題などのコンサルティングを行なうとともに、戦後史を中心に、<社会意識>の変容を考察している。現在、株式会社ケイズワーク代表取締役、東京経済大学大学院(コミュニケーション研究科)講師、国際大学グローバル・コミュニケーションセンター客員研究員。著書に『「若者」の時代』(トランスビュー、2015)、『「幸せ」の戦後史』(トランスビュー、2013)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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