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テレビドラマの中にあった、つか演劇の「本質」

『つかこうへいのかけおち'83』⑥

長谷川康夫 演出家・脚本家

つか作品の本質は「狭さ」にあり

 つかこうへいの芝居というのはほぼどれも、自らが「四畳半芝居」と照れてみせたように、基本、狭い状況設定の中での、一対一のやりとりが中心となる。

拡大『いつも心に太陽を』の平田満(手前)と風間杜夫=1979年、©斎藤一男
 『初級革命講座飛龍伝』、『ストリッパー物語』(=『ヒモの話』)、『いつも心に太陽を』、『蒲田行進曲』、『寝盗られ宗介』と、主な作品を並べてみても、すべてが、アパートの一室や小さな劇場の楽屋といった閉ざされた空間での、登場人物たちの二人芝居がドラマの核なのだ。そこから長い一人台詞が始まることも多い。

 そしていくつかのそんな芝居の、繋ぎともいうべきシーンとして、「劇場の舞台」だったり、「国体のプール」だったり、「撮影所」だったりが挟まり、中休み的な〝演劇的高揚〟を生むというのがパターンである。

 『初級革命講座飛龍伝』に至ってはそれもなく、3人の登場人物による、三様の二人芝居と、それぞれの一人語りだけで芝居が進む。(つまりのちの『飛龍伝』とはまったく別の作品である)

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筆者

長谷川康夫

長谷川康夫(はせがわ・やすお) 演出家・脚本家

1953年生まれ。早稲田大学在学中、劇団「暫」でつかこうへいと出会い、『いつも心に太陽を』『広島に原爆を落とす日』などのつか作品に出演する。「劇団つかこうへい事務所」解散後は、劇作家、演出家として活動。92年以降は仕事の中心を映画に移し、『亡国のイージス』(2005年)で日本アカデミー賞優秀脚本賞。近作に『起終点駅 ターミナル』(15年、脚本)、『あの頃、君を追いかけた』(18年、監督)、『空母いぶき』(19年、脚本)などがある。つかの評伝『つかこうへい正伝1968-1982』(15年、新潮社)で講談社ノンフィクション賞、新田次郎文学賞、AICT演劇評論賞を受賞した。20年6月に文庫化。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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