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吉村大阪府知事の高評価とポストトゥルース時代(下)~ファクトより情緒

木村涼子 大阪大学大学院人間科学研究科教授

ポストトゥルースの時代?

Heidi Besenshutterstock拡大Heidi Besen/Shutterstock.com

 この状況を読み解くためには、2016年を契機に盛んに使われるようになった、ポストトゥルース(ポスト真実)という言葉をキーワードとして考えるのが適当なのかもしれない。

 イギリスで2016年を代表する言葉(Word of the Year、オックスフォード英語辞典を出版するオックスフォード大学出版局が選考)として選ばれたのが、ポストトゥルース(post-truth)であった。その年、イギリスではEU離脱が国民投票で決定され、アメリカでは熱狂的にトランプ大統領が迎えられるなど、人々の情緒的な波動が政治を動かすことを印象づける出来事が相次いだ。

 この言葉は、客観的な事実や具体的な施策の作用よりも、心情や信条のアピールが重視される政治・社会状況を指して用いられることが多い。時には事実と異なる情報が、ひとびとの感情に訴えかけながら、「真実」としてみるまに広がっていく危険な事態をも招く。2020年のアメリカ大統領選挙で「不正」があったとのトランプ大統領による主張の拡散、その末に1月の議事堂への乱入事件が生じたことも、ポストトゥルース時代の象徴的な事件だと言われる。

 コロナ対策においても、

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筆者

木村涼子

木村涼子(きむら・りょうこ) 大阪大学大学院人間科学研究科教授

1961年生まれ。1990年、大阪大学大学院人間科学研究科博士課程単位取得退学。大阪大学大学院人間科学研究科教授。博士(人間科学)。専門は、近代日本におけるジェンダー秩序、ジェンダーと教育研究など。『<主婦>の誕生――婦人雑誌と女性たちの近代』(吉川弘文館)、『学校文化とジェンダー』(勁草書房)など著書多数。