2021年05月17日
ルイザ・メイ・オルコットという名前を書評欄で見つけたのは、5月1日のことだった(「朝日新聞」朝刊)。書名でなく、そちらに目がいったのは『若草物語』フリークだから。オルコットといえば『若草物語』、でも出版されたのは1868年。なのに、彼女の新刊?
続きを読んで驚いた。ある女性がイギリス貴族の家に家庭教師として雇われるが、彼女には「身分の高い男性」の妻になるという狙いがあり、そのために年齢も過去も偽り、ターゲットを次々籠絡していく──そんな話だという。これって、「紀州のドン・ファン」と元妻の話??
書評が掲載される3日前(4月28日)、資産家男性(当時77)の死亡事件で元妻(25)が和歌山県警に逮捕されていた。彼の死から約3年、東京・品川の高層マンションでの早朝の逮捕劇は報道各社に把握されていたようで、NHKも朝日新聞もすぐに「紀州のドン・ファン」と呼ばれた男の元妻が殺人などの容疑で逮捕された、と実名で報じた。
元妻が年齢を偽ったとは思わないが、それにしても似ている。若草物語フリークとしては、読まずにはいられない。というわけで、その日のうちに購入、翌日に読了した。ジーンというヒロインの手練手管に次々と落とされていく貴族の一家。おばかさんなの?と思わないでもないのだが、補って余りあるスリリングな展開に一気読みした。
感じたことは二つ。ジーンはジョーの黒バージョンだということ、そしてしみじみ「結婚とは経済だ」ということ。
『若草物語』と出合った小学生の時から、
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