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伊礼彼方インタビュー(上)、新作ミュージカル『PARTY』出演

ホリプロ「ミュージカル・クリエイター・プロジェクト」無料動画配信中!

真名子陽子 ライター、エディター


 先週の鈴木瑛美子さんに続いて、同じく「ミュージカル・クリエイター・プロジェクト」に参加した伊礼彼方さんに話を聞いた。

 「ミュージカル・クリエイター・プロジェクト」とは、新型コロナウイルス感染拡大のためエンターテインメントのほとんどがストップした2020年。そんな中ホリプロが、止まらずに未来へ向けて前進すべく“逆風の時こそ新しい挑戦を!”をテーマに、日本から世界に向けたオリジナルミュージカル創作を目指し、新たなクリエイターとの出会いの場となる「ミュージカル・クリエイター・プロジェクト」を始動した。音楽・脚本の2部門で500以上の応募が世界中から集まり、その中から選び抜かれたクリエイターを起用し新たな作品を文化庁が推進する文化芸術収益力強化事業の一環として発表することとなった。

拡大伊礼彼方=宮川舞子 撮影

 その一つが、ブロードウェイで活躍するジェイソン・ハウランドの楽曲を使い、脚本部門で選出された横山清崇が新たな作品として生み出した新作ミュージカル『PARTY』。劇場での公演を目指して新作ミュージカルのパイロット版を制作し、普段は公開されることのないリーディングワークショップを公開するという、今後の新作創作過程の新たな第一歩となる新しい形で無料動画を配信している。また、ワークショップの撮影方法は、自由視点映像及びマルチアングル映像をWEB配信出来る特許技術SwipeVideo(スワイプビデオ)の協力を得て、約30台の携帯カメラを使用し撮影。視聴者がスワイプする事で自由に視点をスイッチングしながら視聴できる。

 間もなく開幕する『レ・ミゼラブル』で引き続きジャベール役をするなど、演劇界の第1線で活躍する伊礼さんに、本番中にも関わらず二つ返事でOKしたというその理由や、このプロジェクトの魅力についてたっぷりと語ってもらった。

本番と被るけど断る理由がなかった

拡大伊礼彼方=宮川舞子 撮影

――「ミュージカル・クリエイター・プロジェクト」の話を聞いた時の感想から聞かせてください。

 「実はこういう企画があって…」と、プロデューサーからお電話をいただいたのですが、二つ返事でOKさせていただきました。ただ収録時期が、『ダム・ウェイター』の本番と被っていたので、僕が「やります」って言った瞬間にマネージャーが横で「ええっ!?」ってなってましたけど(笑)。でも、必ず都合をつけるからと言って、お引き受けしました。そもそもこの企画自体が新しい挑戦じゃないですか。無料で配信するということも含め、クリエイターを発掘しようというその精神に惚れましたし、突き動かされるものがありました。

――どんな作品かも気にならず?

 楽曲がジェイソン・ハウランドでよく知っていますから、曲が良いことは間違いないだろうし、この企画自体に惹かれたので断る理由がなかったんです。声をかけていただいたのもすごくありがたかったですし、本番と被っていてもやるべき作品だなと思いました。

――確かに今までにないプロジェクトですよね。

 既存の有名な作品に出るというステータスももちろんあるけれど、ゼロから創る、新しい道を作る、それを若いプロデューサーがやり始めているということが素晴らしいじゃないですか。僕らの年代の役者たちは現状に懸念があったり、疑問を持っていたり、過去も大事だけれど、変えていかないとダメだよねと思うところもあって、いろんなことにチャレンジしています。その中で、若いプロデューサーが新しい演劇を作ろうとしていることはうれしいですし、すごく可能性を感じますよね。たとえ失敗したとしても、次に繋がる何かが必ず見つかりますから。

伊礼さんも新しい挑戦を?

拡大伊礼彼方=宮川舞子 撮影

――この時世だからこそ、新しい挑戦を見られるのはとてもうれしいです。

 これはコロナ禍だから生まれた企画だと思います。今、たくさんの悲しみや苦労がありますが、違う見方をすればチャンスもたくさんあるんですよね。僕も新しい出会いがたくさんありましたし、この中で自分がどう立ち向かうかを考えることも大事だと思います。若いプロデューサーがこういう環境の中で、前へ進もう、何か新しいことをしようと思った。こういうプロジェクトは個人事務所では限界があるんです。思い立ったとしても自己満足になりかねない。でもホリプロという大きな会社だとアピール力も大きいですし、実現までが早いんですよね。そこのプロデューサーがこういう企画をやってくれるのは役者としてすごくありがたいし、今回のプロジェクトのようなことは自分のやりたいことの一つでもあるので、自分が呼ばれたことはうれしかったです。だから、断る理由がなかったです。ただ、本番中だったら普通は断るよねって(笑)。

――(笑)。2つの作品に同時に取り組むのは大変でしたか?

 初めてセリフを覚えるスケジュールを変えました。いつもは立ち稽古が始まって、相手の役者の声を聞きながら覚えて肉付けしていくんですが、先に『ダム・ウェイター』のセリフを全部覚えて、その本番中には『PARTY』に集中できるように変えて、いつもと違うアプローチをしました。

――伊礼さんとしても新しい挑戦になったんですね。

 そうですね、「俺、できるじゃん!」と思いました(笑)。『ダム・ウェイター』の90ページほどのセリフを3~4日で詰め込んで、6~70%の仕上がりで現場に入ったんです。二人芝居でしたから相手のセリフもすべて覚えなきゃいけなかったので大変でしたけど、そうしてでもこのプロジェクトに入りたかったということです。

◆公演情報◆
ミュージカル 『PARTY』
・視聴方法:
SwipeVideo(マルチアングルver.)
YouTube(カット割りver.)
公式ホームページ
 
[スタッフ]
作曲:ジェイソン・ハウランド
脚本・歌詞:横山清崇
演出:元吉庸泰
音楽監督:竹内聡
[出演]
鈴木瑛美子、加藤和樹、伊礼彼方、石川禅
樋口麻美、廣瀬友祐、May’n、小野田龍之介
髙橋颯、東山光明、五十嵐可絵、山﨑玲奈
 
〈伊礼彼方プロフィル〉
 1982年、沖縄出身の父とチリ出身の母との間に生まれ、幼少期をアルゼンチンで過ごす。中学生の頃より音楽活動を始め、2006年『テニスの王子様』で舞台デビュー。2008年『エリザベート』ルドルフ役に抜擢され、以降、ジャンルを問わず多数のミュージカル、ストレートプレイ等で多彩な役柄を演じ幅広く活躍中。主な出演作に、舞台『レ・ミゼラブル』『ジャージー・ボーイズ』など。2019年には藤井隆プロデュースで初のミュージカル・カバー・アルバム「Elegante」をリリース。今春、下北沢 小劇場楽園にて『ダム・ウェイター』を自主企画。2021年5月より『レ・ミゼラブル』(ジャベール役)帝国劇場他出演予定。
オフィシャルサイト
公式twitter

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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