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「種の保存にあらがっている」のはLGBTではなく自民党が進めた少子化だ

差別する政党に効果的な「理解増進法案」が作れるのか?

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 超党派の議連で合意した「LGBT理解増進法案」を審査した2021年5月20日の自民党会合で、簗和生(やな・かずお)衆議院議員(栃木3区)が、「生物学的に自然に備わっている『種の保存』にあらがってやっている感じだ」という差別発言をし、大きな批判が起こっています。

 かつて2018年7月に「LGBTは生産性がない」という主張を雑誌に寄稿した杉田水脈衆議院議員(比例中国ブロック)や、2020年9月に「同性愛が広がると足立区が滅びる」という発言をした足立区の白石正輝区議会議員も大きな問題になりましたが、またしても自民党内から性的マイノリティに対する差別発言が繰り返された形です。

 差別であるのは当然のこと、生物学の専門家からも反論が上がっているように、この発言は明らかな誤りです。病気に対して科学的根拠を示さずに効果があるように謳い患者を惑わせる治療を「トンデモ医療」と言いますが、このように生物学的に誤っているにもかかわらず、まるで正しいかのように主張する言説は、「トンデモ生物学」とでも言うべきでしょう。

簗和生(やな・かずお)衆議院議員拡大簗和生衆議院議員

「種の保存」に背いた自民党政権の少子化無策

 仮に、「種の保存」を目標とするのであれば、それに最もあらがっているのは、何十年もまともな少子化対策をせずに、産みたくても産めない社会や産みたいとは思えないこの社会を作り、日本の人口減少という結果をもたらした歴代の自民党政権ではないでしょうか?

✅教育に対する公的支出を先進国最低レベルに留めている

✅保有資産や年金給付額等における巨大な世代間格差や、正規・非正規格差等を積極的に生み出して、親になることのリスクを大幅に高めた

✅ひとり親が以前よりも増えているのに、手厚い支援をせず、世界でも突出したひとり親世帯の貧困率の高さを招いた

✅フリーランスや個人事業主になる人は増加しているのに、育児休業給付金が雇用保険に加入する労働者に限定されている等、支援の枠組みから排除し続けている

✅男女の賃金格差を放置しているがゆえに、「離婚したくても子供のことを考えるとできない」という状況の人(主に女性)が非常に多く、独身の同世代や若い世代に、子供のいる人生に悪いイメージを持たせている

✅若者支援を十分にしてこなかったことが、経済的に安定してから子供を持つという晩産化の要因の一つを作り出した

✅夫婦における家事育児の分担率が不平等な家父長制的家族観を温存してきた

✅「マミートラック」のように、子供を持つ人が“罰”を受けるかのような仕組みを放置してきた

✅マタハラやパタハラに対していまだに効果的な規制を設けていない

✅世界最低レベルの長時間労働問題をいまだに解決せず、一部の親が育児の時間を持てないような状況を放置している

✅「包括的性教育」や「ポルノに対する適切な規制」を避け続けたことで、適切なパートナシップを構築する能力や、ライフプランニングを持ってお互い話し合う能力が育まれていない

✅「産むor産まない」は全て当事者が決めるという自己決定権を軽視し、「産めよ増やせよ」的に圧力をかけるセクハラ発言を議員が幾度となく繰り返し、子供を持つことに対する希望を持てない社会を強化した

✅様々な少子化対策を実施している世界の国々から学ぼうとせず、婚活支援策のように、子を望む人たちからのニーズが高くはないことは積極的に行おうとする

✅育児を妻に丸投げしている政治家ばかりを公認候補に選び、子育て支援政策を「公約の一丁目」に据える候補者をほとんど公認しない

 これらは全て自民党政権がなしてきたことです。あくまで思いついたものを列挙しただけですので、他にもたくさんあることでしょう。

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筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

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