案外かわいかったヘビちゃんの顔と温かかった社会の反応にほっとする
2021年05月26日
その第一報は、首都圏ではコロナ禍でゴールデンウィークも自粛を余儀なくされていた5月6日に飛び込んできた。「横浜でアミメニシキヘビ、逃げる」。
毎日毎日、コロナ関連のニュース漬けだった人々(含む、私)は、全然違うカテゴリーのニュースに「え?」となり、次に「ヘビ?」となり、ヘビの体長が3.5メートルと知ったら、「そりゃ、怖い!」となった。近隣の人はちょっとした草むらに「ヘビがいるのではないか」と外に出るのも怖かったろうと思う(私が近所だったら、正直怖い)。
第一報の翌日? その翌日? くらいまでは「見つかったのかな……」とか脱走事件の続報を待っていたが、次々とニュースが飛び込む日常では、このヘビのニュースは世間からおそらくすーっと忘れられていった(私も忘れた)。
しかし、その間も、“捜索”は続いていたようだ。
飼い主さんはヘビが見つかるまではかなり大変な日々を送っていたことも知った(「アミメニシキヘビ飼い主男性の長かった17日間と取材対応でみせた「反省」「ヘビ愛」」週刊女性PRIME)
そして、16日後の5月22日、「巨大ヘビ、アパートの屋根裏で見つかる!」のニュースが速報で飛び込んだ。
おそらく、この件に関しては、全国民が素直に「よかったー」と思ったであろう。私も思わず、妹と弟に「ヘビ、見つかったねー」とメールしたほどである。期せずして、ヘビ年の妹からは、「今、コロナ以外のニュースにみんな飢えてるから、なんかこのヘビのニュース、気になっちゃうんだよね。で、この子(ヘビ)つかまってるのみたら、案外かわいい顔してたね(自宅の屋根裏にちんまりいたところもかわいい)。飼い主さんのところに戻れるのかな」と返事が来た。
結局このヘビちゃんはどうなるのかな? と思って調べたら、飼い主さんは「しかるべき機関に譲渡する」というコメントを出していた。
関西に住む弟からは、「全国放送のトップで伝えていた、テレ朝」と返事が来た。首都圏だけではなく、全国ニュース扱いだったんだと、人々の関心の高さ(?)が伺い知れた。
このニュース、結局は飼い主さんの住んでいたアパートの屋根裏で見つかったということだが、学ぶべきところがいくつかあったように思える。
その1:ヘビの捜索には、その道の専門家がかかわったことで道が開けたこと(「アミメニシキヘビ逃走騒動を終わらせた専門家の“天才的推理”」週刊女性PRIME)
一度は「警察が捜索した」という「屋根裏」を再度調べるようにと助言したのは、国内最大の爬虫類・両生類の動物園の園長で日本爬虫類両生類協会の理事長でもある、白輪剛史氏だった(そんな動物園と協会があるのを初めて知った!)。その推理の的確さは先の記事にある通りで、「これぞ、専門家の鏡、あっぱれ」と感服した。
警察は「人間の捜索」のプロだが、「ヘビの捜索」のプロではなかった(当たり前だ)。普通、警察はすでに一度は調べたという屋根裏を、再度なかなか調べようとはしないものだが、園長はそこをある意味確信をもって「アパート内部にいるはず」と捜索の前の取材でもきっぱり断言したという。
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