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人生相談1800人待ちの大愚和尚が説く「孤独」な心に効く話

YouTubeチャンネルが話題。コロナ禍で深刻化する「お金」と鬱の問題

丸山あかね ライター

整体師や起業家を経験し僧侶に専念

――整体師を志したのですか?

 はじめは整体を生業(なりわい)とする気はありませんでした。けれど、知識や技術を高めるためには施術の経験を積む必要があります。そこで寺の一角を借りて、無料で檀家さんの施術を始めたところ、口コミで広がり、たくさんの方が訪ねてみえるようになったのです。

 タダで診てもらうわけにはいかないと、お金を包んで来られる方がほとんどでしたので、それならということで寺の活動とは切り離して整体院を立ち上げます。無料で施術をしていた時代を含め、引退するまでの約15年間のあいだに、延べ5万人ほどの施術を行いました。

 たとえばテニスで腕を痛めたという人がいたら、自分もテニスを習いに行って、どこの筋肉をどう使うのかについて探求していました。あるいは畑仕事で腰を痛めたという人がいれば、自分も畑仕事を体験してみる。

 なぜかと言えば、通りいっぺんに「痛いよね」と同情するだけでは、相手の信頼を得ることができないからです。信頼されなければ、治療法に耳を傾けてはもらえません。改善へと促すためには、「私もやってみて初めてわかったけれど」と痛みに寄り添うことが大切なのです。

 『大愚和尚の一問一答』にも、同じスタンスで取り組んでいます。私は自分の失敗談も話すし、どんなに未成熟な人間であるかについても語る。上から目線で説かないというのが信条です。

――起業家として活躍されていた時期もあるようですが。

 32歳の時に「慈悲心を具現化したい」と複数の事業を立ち上げ、軌道に乗せることができました。けれど、それを機に、ここから先は僧侶の仕事に専念しようと決意します。事業を後進へと引継ぎ、私自身は仏教伝道ルートを辿(たど)るインドの旅を皮切りに、世界23カ国を訪ね、その中で僧侶としてのあり方や寺の方針などについて熟考しました。住職就任したのは2017年、42歳の時です。

拡大大愚和尚

YouTubeを始めた理由

――時を同じくして「大愚和尚の一問一答」をスタートされています。YouTubeに着目したのはなぜですか?

 それまでにも、私はお悩み相談を受けていたのです。整体師をしていたという話をしましたけれど、私が僧侶であるということから、お釈迦様の教えによって心を整えたいと整体院を訪ねてみえる方が少なくありませんでした。ストレスが体のゆがみにつながるというのは確かなことですので、私も心の問題を解決することが重要であると考え、患者さんのお悩み相談に耳を傾けていたのです。

 そんななか、誰にも相談できずにいる人がいかに多いのかを知りました。そこで住職になってすぐの頃に、メールでのお悩み相談を始めたのですが、こちらの文章力の問題もあったのでしょう。誤解を生じることも多く、頭を悩ませていた。そのうちに寄せられるメールの数も増えてきて、一人ひとりの方にお返事を書くことが時間的に難しくもなってきました。そんな折に、「でもYouTubeなら」という発想が浮かんだのです。

 動画であれば、表情や声のトーンで相談者の心に寄り添いつつ、厳しく説くことができます。心の問題を解決するためには、優しさと強引さの両方がなければいけないというのが持論です。お釈迦様の教えを説く以前に、まず自分自身に向き合って欲しいというメッセージをビシッと伝えなくてはならず、それが私の役割だと考えています。

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筆者

丸山あかね

丸山あかね(まるやま・あかね) ライター

1963年、東京生まれ。玉川学園女子短期大学卒業。離婚を機にフリーライターとなる。男性誌、女性誌を問わず、人物インタビュー、ルポ、映画評、書評、エッセイ、本の構成など幅広い分野で執筆している。著書に『江原啓之への質問状』(徳間書店・共著)、『耳と文章力』(講談社)など

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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