杜けあきインタビュー/上
寺田メロディのなかには役の心や時代背景が全て入っている
橘涼香 演劇ライター

宝塚のモーツァルトと謳われ、約3,000の名曲で宝塚歌劇の歴史を彩ってきた作曲家・寺田瀧雄の没後20年を迎えるのを記念して、珠玉の寺田瀧雄メロディを歴代のタカラジェンヌが未来へ歌い繫ぐ『寺田瀧雄没後20年メモリアルコンサートAll His Dreams“愛”』が6月26日~27日大阪・梅田芸術劇場メインホール、7月1日~2日東京・Bunkamura オーチャードホールで開催される。
今回の企画では寺田の名曲の数々から、演出家と楽曲に焦点をあててピックアップ。第一部は内海重典、鴨川清作、酒井澄夫、草野旦、三木章雄等ショー作品の華やかな楽曲を中心に。第二部では最も縁の深かった植田紳爾バージョン、柴田侑宏バージョンと銘打ち、それぞれのドラマチックな代表曲が日替わりで歌われ、大阪公演初日、東京公演千秋楽の第二部では、寺田の作り出した全曲の中から選りすぐったスペシャルバージョンが、オールスターキャストで届けられるという夢の企画が実現する。
そんなコンサートに臨む元宝塚歌劇団雪組トップスターで、女優として多彩な活躍を続けている杜けあきが、特別なステージへの想い。いま改めて感じる寺田メロディの魅力や歌の力。また長年の寺田との親交での思い出深いエピソードなどを語ってくれた。
歌い手の心を泣かせ、喜ばせる寺田メロディ

杜けあき=岩田えり 撮影
──宝塚のモーツァルトと謳われた作曲家、寺田瀧雄さん没後20年のメモリアルコンサートということで、もうそんなに月日が流れたのかという驚きもありますが、開催を前にしていかがですか?
当初は昨年の夏に開催されるはずだったのですが、コロナ禍でここまで延期になりましたので、まず上演が決定したことがとても嬉しかったです。公演フライヤーを見ますと、私が宝塚に入るきっけになった『ベルサイユのばら』に初演当時から関わってこられた先輩方、同じ時代を一緒に過ごしてきた上級生、下級生の皆さんと、またこうやって寺田先生の大切な名曲揃いのコンサートに出演できることを、本当に幸せだなと思っています。
──まず全体像としてお伺いしたいのですが、いまおっしゃった通りの、まさに名曲の宝庫である「寺田メロディ」の魅力をどう感じていらっしゃいますか?
宝塚の現役生の時には、いただいた楽曲をその役として歌っていたんですね。例えばショー作品であっても、やはり場面、場面で例えば「鳥」ですとか「キング」ですとか設定があったので、あくまでも役柄になって歌っていて。でも今回こうした形で、改めて寺田先生の曲に新鮮な気持ちで接した時に、ただ譜面通りに歌いさえすれば、作品の時代背景、役の心情、場面のシチュエーションを表現できるんだ!ということに気づかされて。それくらい見事な表現力を持ったメロディなんです。中でも久しぶりに歌って思うのは心が震えるということです。それほどメロディックだし、歌い手の心を泣かせてくれたり、喜ばせてくれたりする旋律なのだと感じています。
◆公演情報◆
『寺田瀧雄没後20年メモリアルコンサートAll His Dreams“愛”』
【大阪公演】
2021年6月26日(土)18:00・27日(日)12:00/17:00
梅田芸術劇場メインホール
【東京公演】
2021年7月1日(木)18:30・2日(金)12:00/17:00
Bunkamura オーチャードホール
公式ホームページ
[スタッフ]
監修:植田紳爾
構成・演出:三木章雄
[出演]
初風諄 榛名由梨 鳳 蘭 汀夏子 安奈淳 瀬戸内美八 髙汐巴 寿ひずる 平みち 剣 幸 日向薫 杜けあき 安寿ミラ 涼風真世 麻路さき 真琴つばさ 白城あやか 湖月わたる 月影瞳 朝海ひかる ほか
〈宝塚歌劇団〉轟悠 ※大阪のみ
※公演によって出演者が異なります。詳細はホームページのキャストスケジュールをご確認ください。
〈杜けあきプロフィル〉
65期生として宝塚歌劇団に入団、翌年に雪組に配属。1988年雪組トップスターに就任。1993年『忠臣蔵〜花に散り雪に散り〜』で退団。バウホール公演『ヴァレンチノ』と『忠臣蔵』で1992年度菊田一夫演劇賞の演劇賞を受賞。退団後は女優として舞台や映像に多数出演し、活躍を続けている。
★オフィシャルサイト
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