二ノ宮金子 (にのみや・きんこ) フリーライター
カルチャー雑誌などの編集者、ライターを経て、フリーに。映画、本、食、温泉などを中心に執筆。関心領域は、貧困、不登校、子どもの病気なども。主な資格に、美容師免許、温泉ソムリエ、サウナ・スパ健康アドバイザーなど。ツイッターは、 https://twitter.com/kinko_ninomiya
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
6月1日、休業を余儀なくされていたシネコンなど大手映画館が、時短営業という形ではあるもののようやく再開された。3度目となる緊急事態宣言が発令されたのが4月25日だから、休館していたのは、37日間になる。だが大手映画館が休館していようともミニシアターの大半は感染対策を行いつつ、上映を続けていたわけだから、映画がまったく見られないわけではなかったし、サブスクを利用すれば、いつでも好きな時間に好きな場所で映画を観ることだってできた。
なのに、この「失った37日間」、心のダメージがことのほか大きかったことに正直自分でも驚いている。
それをもっとも痛感したのが、第93回アカデミー賞の作品賞、監督賞、主演女優賞の3部門を受賞した『ノマドランド』を再見できないという事実だった。アカデミー賞の発表は、日本時間の2021年4月26日。つまり4都府県(東京、大阪、兵庫、京都)で緊急事態宣言が発令されたばかりの最悪なタイミング。
そんなことも知らない(当たりまえだ)名優フランシス・マクドーマンドは、オスカー像を手にしながら言った。「この映画は、大きなスクリーンで観てほしい」と。でもね、東京ではそんなことできなかったのだ。だって上映館はゼロになってしまったから。これが、2021年4月26日以降、5月31日まで続いたコロナ禍の日本のリアルだった。