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初音ミクが「歌姫」になった日〜奇跡の3カ月(2)「あなたの歌姫」の天啓

ソフトウェアから人格ある歌手へ

丹治吉順 朝日新聞記者

とんでもなく背伸びした呼び名「歌姫・初音ミク」

「歌姫」というキーワードが頭に浮かんだのは、そんな半ばトリップした状態のときだった。

「あんなふうに言葉やイメージがどこかから降ってくるような体験は、生まれて初めてでした。自分でも驚いたし、『天啓だ』とも思いました。だって…」とazumaさんはいう。

「だって、当時の初音ミクにとっては、『歌姫』なんて、とんでもなく背伸びした言葉でしたから」

今でこそキャラクターやシンガーとしても知名度の高い初音ミクだが、誕生後の半月ほどは、単純に楽器であり道具だった。あえて言えば「おもちゃ」のような側面も強かった。DTM経験者の多くが初めて手にした「歌を歌う楽器」。その初めての楽器を使って、さてどう遊ぶか、何をやったら皆にウケるか、数百人規模のユーザーが日々試行錯誤していた。(DTMは「デスクトップ・ミュージック」という和製英語の略。コンピューターで楽曲制作することを指す)

「仕事を選ばない(選べない)ミクさん」という愛称は、そんな背景から初期ファンたちが生んだ。どんなはちゃめちゃな歌詞やメロディでも、入力通り大まじめに歌う。そんな今まで経験したことがないような楽しい遊び道具、それが当初の初音ミクだった。

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筆者

丹治吉順

丹治吉順(たんじよしのぶ) 朝日新聞記者

1987年入社。東京・西部本社学芸部、アエラ編集部、ASAHIパソコン編集部、be編集部などを経て、現在、オピニオン編集部・論座編集部。機能不全家庭(児童虐待)、ITを主に取材。「文化・暮らし・若者」と「技術」の関係に関心を持つ。現在追跡中の主な技術ジャンルは、AI、VR/AR、5Gなど。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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