男性の育児休暇取得を促進する、「改正育児・介護休業法」が6月3日に成立した(「男性のパタハラ被害、4人に1人が経験。「男性育休」取得促進する法律が成立。変わる5つのポイント」ハフポスト)。私がちょうど大学生だった1980年代は、まだまだ「女子はお茶くみ」というのが当たり前の時代であった。そういう性による業務配分などを是正することを目的とした「男女雇用機会均等法」が成立したのは、1985年。4つ下の妹はこの法律の恩恵を受けて総合職枠で就職した。
あれから30年近く経った今、もちろん当時と比べれば仕事をする上での男女の格差は相当改善されてきているだろう。一方で1999年には、男女共同参画社会基本法も制定され、さらに社会参画という意味でも女性の参画を促進する動きが法律で後支えされている。どの程度女性の参画が進んでいるかを示すのに、よく使われるのは「女性の参画比率」である。
例えば、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗前会長の発言問題を受けて、今年2月に委員会の女性理事の比率の低さが指摘された。3月には新たに12名の女性理事が選任され、女性比率が40%超えになったことは記憶に新しいだろう。この件では、組織委員会は定款を早急に変更し、35名だった理事の上限を45名に引き上げて、42%という数字を達成している。

東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の理事は女性が4割を超えた。手前は高橋尚子理事=代表撮影
最初にこのニュースを聞いたときから、「え? 定款を変えてまで、理事の上限数を引き上げるって?」と違和感を覚えたのだが、変更前の理事は何名で、うち女性は何名で、変更後はそれが何名になった……という細かい数値が報道では出てこなかった。増えた女性理事の「人数」や「女性の比率」ばかりが強調されていたので、仕方なく与えられた数値から逆算してみた上で、公開されている名簿から男女の人数を数えた(報道関係の方はパーセントだけではなく詳しい実数で全体像をぜひ示してください)。