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「性犯罪に関する刑事法検討会」報告書に失望した──軽視された世論の動向

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

関係性に基づく性犯罪・性交同意年齢問題

 (1)「性交同意年齢」は13歳にすえ置かれた。つまり日本では、中学1-2年生以上については、性的人格権を無条件に保護する体制はないということである。だが世界的に見てこれは問題である(近年、同年齢を引き上げる傾向が高い)。

 そもそも「性交同意年齢」を13歳とすべき積極的な理由はない。

 一般に中学生(13歳は中学1-2年生)の生活範囲は、小学生ほどではないとしても依然として狭い。その限りその社会的な視野も狭く、また判断能力も低い。一方、高校生(15-16歳以上)では行動範囲は広くなり、所属コミュニティは中学卒業以前と大きく異なり、それを契機にして視野・判断能力──性的自己決定能力を含め──は全般に高まる傾向がある。それゆえ「性交同意年齢」を例えば15-16歳とすることに合理性がある(杉田「強制性交等罪の法定刑と性交同意年齢を引き上げよ」)。

 これに対し、同年齢を引き上げると、それに満たない年齢の男女が性交を行ったとき双方ともに犯罪者とされてしまう、という反論が出され、満足な検討がなされないまま問題は先送りされた。

 だが性交が犯罪視されるのは、

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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