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萩尾望都『一度きりの大泉の話』が書きたかったのは竹宮惠子のことではなく

青木るえか エッセイスト

 『一度きりの大泉の話』(河出書房新社)が出てからというもの少女マンガ界隈ではいまだに蜂の巣をつついたような大騒ぎ状態である(多少大ゲサに言ってますが)。

 読んでショックを受けた、読んで泣いてしまった、腹がたった、混乱した、胸が痛んだ……等々、すごかった。出版されてから2カ月近く経った今、当初の騒ぎは収まり、別の混沌となり、熟成されて、最初の頃とはちょっと違った感じになっている。

 「いったい、誰がいけなかったのか」

 どうも、話はそっちの方向に進んでいるような……。

 5ちゃんねるの少女漫画板でも、前から「萩尾望都スレ(ッド)」はあったが、この本が出版されると「大泉スレ」がたち、それも、

 「【萩尾望都】大泉スレ【竹宮惠子】」

 「【萩尾望都寄りスレ】大泉本を読んで【竹宮惠子批判OK】」

 「【竹宮惠子寄りスレ】大泉本を読んで【萩尾望都批判OK】」

 と三つもある。タイトルがすでに不穏すぎる。この三つのスレが、着々と更新を続けている。

 それほどたいへんなことだったのだ、『一度きりの大泉の話』が出たことは。

萩尾望都拡大萩尾望都さん
 マンガの世界で、萩尾望都は特別な人だ。

 私がはじめて読んだのが『11人いる!』だ。中学の夏休みに田舎にいって従姉妹の読んでた『別冊少女コミック』を借りて読んだ。

 『マーガレット』派で萩尾望都を知らなかった私は、「なんなんだこれは」と衝撃を受けた。「こんなマンガ読んだことねえ……!」

 絵は魅力的だし、SFなんだけど今まで読んでたマンガや物語とはまるで違う世界で適度なワケのわからなさもあり、「すごいもん読んだ」と思った。

 好みであろうがなかろうが、「この人はマンガ家として、他の人とはちがう」ということぐらいは、マンガを読んでたら誰でもわかる。それが萩尾望都。

 その萩尾望都の、文字の本。美しいエドガー(『ポーの一族』の主人公の吸血鬼の美少年)と青いバラの、それはそれは美しいカバー。

 それが、竹宮惠子とのゴタゴタを書いた本らしいのだ! えええーっ。

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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

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