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[4]川本喜八郎・岡本忠成作品の魅力──アニメーション芸術を探究した両巨匠

叶精二 映像研究家、亜細亜大学・大正大学・女子美術大学・東京工学院講師

 2020年12月19日から本年3月28日まで国立映画アーカイブ(東京・京橋)で企画展「川本喜八郎+岡本忠成 パペットアニメーショウ2020」が開催された。5月8日からは4Kスキャンによって修復された川本・岡本両氏の代表的10作品が全国の劇場で巡次公開中である。

国立映画アーカイブ企画展「川本喜八郎+岡本忠成 パペットアニメーショウ2020」の看板。(撮影拡大国立映画アーカイブ企画展「川本喜八郎+岡本忠成 パペットアニメーショウ2020」=東京・京橋、撮影・筆者

 川本喜八郎氏と岡本忠成氏は、共に1960年代から日本のストップモーションを牽引した先導者・開拓者であり、競って作品を制作したライバルであり、盟友でもあった。二人は作風も技法も対照的であったが、何と誕生日は同じ1月11日。川本氏は2010年、岡本氏は1990年に逝去しており、2020年はそれぞれ没後10年と30年の節目であった。

国立映画アーカイブ企画展とデジタル修復版の上映

 「川本+岡本 パペットアニメーショウ」は、ストップモーション・アニメーション作品の上演とライブ操演による人形芝居劇を組み合わせた画期的なイベントであり、1972年に初めて開始された。芸能人・著名人を含む一般観客を集め、1976年まで年1回、5年連続で開催され、1980年の第6回まで続いた。

 今回、実に40年を経て「パペットアニメーショウ」が企画展として復活した。貴重な人形や資料を後世に遺すためにも、適正な保管や展示は大きな課題である。今後も全国各地で巡回展が継続されることを願う。

アニメーションの神様、その素晴らしい世界 Vol.2&3 川本喜八郎、岡本忠成監督特集上映拡大「アニメーションの神様、その素晴らしい世界 Vol.2&3 川本喜八郎、岡本忠成監督特集上映」のチラシ
 企画展と同時に進行していたのが、フィルムで撮影された両監督の作品群の4Kデジタルスキャンによる修復作業であった。今回両氏の作品群が最良の状態で上映されたことにより、新たな観客層が広がっている。非常事態宣言下ながら東京・福岡・大分での興行は好評のうちに終了し、今後も全国の映画館で巡回上映される。両氏の短編群は時代を超えた普遍的な魅力に溢れており、そこには土着的民族性や日本人の琴線に触れる深い悲嘆や感動がある。

 日本のストップモーションの歴史が回顧され、改めてその高い技術と志が認識し直される絶好の機会である。

川本喜八郎+岡本忠成 パペットアニメーショウ2020
アニメーションの神様、その素晴らしい世界 Vol.2&3 川本喜八郎、岡本忠成監督特集上映

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筆者

叶精二

叶精二(かのう・せいじ) 映像研究家、亜細亜大学・大正大学・女子美術大学・東京工学院講師

映像研究家。亜細亜大学・大正大学・女子美術大学・東京工学院講師。高畑勲・宮崎駿作品研究所代表。著書に『宮崎駿全書』(フィルムアート社)、「『アナと雪の女王』の光と影」(七つ森書館)、『日本のアニメーションを築いた人々 新版』(復刊ドットコム)、共著に『王と鳥 スタジオジブリの原点』(大月書店)、『マンガで探検! アニメーションのひみつ』(全3巻、大月書店)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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