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「3高」が男子を追い詰めた(?)時代~「男はつらいよ 社会の重圧篇」

野菜さらだ コラムニスト/言語聴覚士

男子もつらい、「男が養わなければならない」重圧

 前回の論座で、「男性と女性の収入のありなしの可能な組み合わせで(表)、男性が主夫となる専業主夫家庭が日本では少ないのでは」「この部分が増えれば少しは日本も変わるのでは?」ということを述べた(「「男は稼いでなんぼ」という根深い価値観。「不気味なX」は変わるだろうか」)。

 少し調べてみると、2010年~2014年の第6回「世界価値観調査」の結果(舞田敏彦「そりゃあんまりな「職業別・年収別の未婚率」」PRESIDENT  Online)に、具体的な数値があった。想像した通り、日本は他国(タイ:56.8%、ドイツ:27.1%、アメリカ:20.1%)と比べて、「専業主夫家庭」(主たる家計支持者が女性)の比率はわずか「5.0%」と圧倒的に低かった。

【表 結婚組み合わせ全体像と国別比率】【表 結婚組み合わせ全体像と「専業主夫家庭」の国別比率】

 なぜだろう? バリバリ働きたい女子と、そんなにバリバリ働きたくない、あるいは家のことをするのが好きという男子が結婚すれば、日本における「専業主夫家庭」の率も半分とまではいかなくとも、もう少しアップするのではないかと私は考えていた。だが、それはそんなに簡単にいかないのはなぜか、少し時代をさかのぼって考えてみることにする。

腰掛け入社に寿退社、クリスマスケーキで売り切ろう!

 私が学生だった1980年代にごく「当たり前に」飛び交っていた言葉のうち、特に結婚に関係するものを思いつくままに書いてみる。きっと同世代の方には「それ、あった、あった」というものだろうが、現在はほぼ絶滅した用語である。

その1:「クリスマスケーキ」
 本物のクリスマスケーキは、12月の24日(イブ)か、25日(当日)までが売れに売れるということになぞらえて、女子は24歳かせいぜい25歳までが「売れ時」つまりお嫁に行きやすい、それを過ぎると「売れ残り」(この言葉もあったなぁ)という意味を示す言葉。例文:「クリスマスケーキになっちゃう」など。

 当時、22歳、23歳頃に同級生女子が結婚すると、正直「焦り」が生じたものだ。友達の結婚式は、自分の将来の伴侶探しの場でもあったということも書いていて思い出された。独身の男女は、そういう意味で披露宴の後の二次会は気合が入っていたように思う。

「女性の年齢=クリスマスケーキ」理論が驚異の進化!結婚したくない、しなくていい…結婚適齢期ってなんだっけ?」(LATTE)

 ちょうど、ジューンブライドにかけてラジオ(サエキけんぞう)で1982年に発売された松田聖子の「未来の花嫁」が紹介されていたが、この詩が当時の女子の気持ちを浮き彫りにしているとも言える。

 「プロポーズはまだなの ねえ その気はあるの(中略)友だちから名前が変わるニュース聞くと 何故か複雑 微妙なの」(アルバム「Candy」より「未来の花嫁」)

その2:「3高男子」
 これも今や死語だろう。

 高学歴、高収入、高身長(最後はなぜかわからないが、くっついていた)というのを3高男子と言って、そういう男子に女子が群がるという構図。逆を言えば、この一つくらいまではまだしも、二つが揃わないとちょっと……という風潮があった。女子は男子ほどには面食いではなかったようで、この当時はそれほど「見た目がかっこいい」ことはなかった男子で、この3条件に当てはまると「適齢期女子」が突然突進してくる「モテ期」が到来することがあったようだ。

「3高」はもう古い? 現代女性が結婚したい「3優男子」とは」(ITmedia ビジネスオンライン) 

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その3:

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