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それでも幕は上がったーーコロナ禍と「高校演劇」〈1〉

中止、変更、様々な規制、高校生は試練の中に

工藤千夏 劇作家、演出家

中止が相次ぎ、「総文」はウェブに

拡大愛知県立津島北高校の演劇部。初の全国大会出場を決めた3年生は、あとを下級生に託したが、高知での上演はできなかった=2020年1月、愛知県津島市

 コロナ禍が始まってからの高校演劇の状況を時系列でふり返ってみよう。

 高校演劇は学校教育の中にあるため、文科省や都道府県の高等学校文化連盟(高文連)が出す指針に沿って活動しなければならない。

 2020年2月27日、安倍晋三首相(当時)は、3月2日から全国の小学校、中学校、高校などを春休みに入るまで臨時休校とする考えを唐突に示した。これを受け、2月29日、高演協は3月に新潟市で開催予定だった「春フェス」の中止を発表した。

 各校の自主公演、合同公演、地域の演劇祭も軒並み取りやめとなり、部活動自体もなかなか再開できず、4月になっての新入生勧誘もままならなかったという話を聞いた。

 5月12日、「2020こうち総文」は生徒の移動を伴わないWebで開催されるこ とが発表された。

 演劇部門は、合唱、吹奏楽、郷土芸能など7部門ともに、特設サイト「WEB SOUBUN」にリンクするYouTube に動画をアップロードし、10月まで公開することになった。内容は、高知県で発表予定だった作品に限定せず、過去1年以内に撮影した別の映像でもよい。

 出場予定12校のうち11校が作品を提出し、審査は行われなかった。

 9校は、地元のホール等で、無観客か、関係者のみで上演した舞台を新たに収録して、提出した。埼玉県立川越高校は、ブロック大会の記録映像を観客の反応も含め、そのままアップした。徳島市立高校は新たに「映画」を制作した。青森県立青森中央高校は、県高文連の感染防止ガイドラインによって収録ができず、事情説明とメッセージのみの映像だった。

 YouTubeでの動画配信では、音楽著作権がネックとなり、洋楽が使えないという問題が起きた。京都・洛星高校、愛知県立津島北高校、愛知高校が、音楽使用シーンで音声を消す選択をした。北海道富良野高校は曲の変更を余儀なくされた。全国大会の舞台を踏むことができずに悔しい思いをした部員たちが、不完全な形での配信に甘んじなければならなかったのは無念である。

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筆者

工藤千夏

工藤千夏(くどう・ちなつ) 劇作家、演出家

ニューヨーク市立大学大学院演劇科修士課程修了。1992年「青年団」入団、2003年より演出部に所属し「うさぎ庵」を主宰。代表作に『コーラないんですけど』、『真夜中の太陽』(原案・音楽:谷山浩子)など。青森市を拠点にする劇団「渡辺源四郎商店」のドラマターグ。日本劇作家協会評議員。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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