メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

「強制的夫婦同姓」問題の本質は、「家」の論理と戸籍制度である

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

強固な社会慣習的な圧力

違憲の判断が出た場合に提出しようと思っていた婚姻届を披露する申立人の事実婚カップル=2021年6月23日午後、東京・霞が関20210623拡大最高裁で「夫婦同姓」に違憲の判断が出た場合に提出しようと思っていた婚姻届を見せる申立人の事実婚カップル=2021年6月23日

 なるほど現在は、形式的に男女は平等である。民法は女性にその氏を捨てるよう求めていない。

 だが実に96%が夫の氏を選ぶ(選ばざるをえない)のが現実である以上(厚生労働省「平成28 年度 人口動態統計特殊報告『婚姻に関する統計』の概況」、10頁)、日本国憲法が保障する、女性にとっての「個人の尊厳」も「両性の本質的平等」(第24条第2項)も、ただの理念に終わっている。社会慣習的な圧力は根強く、氏を通じて父系の存続を最重要視する明治民法の価値観が、今でも私たちをしばっている。

 この社会慣習的な力は、漠たる観念体系(だが結婚の折りなどに現実の力を見せつけられる)であると同時に、ある形で制度化されている。それは「戸籍」制である。

戸籍──家を単位とした身分登録

 戸籍とは何か。

 ためしにそれがどう翻訳されているかを見てみるとよい。

・・・ログインして読む
(残り:約2781文字/本文:約4558文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

杉田聡の記事

もっと見る