メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

「八街事件」は今後も起こる。運転者のミスは偶然ではなく必然である

自動車システムを根本的に問い直さなければ、子どもたちの命は守れない

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

問われるべきは自動車システムそれ自体である

トラックが児童の列に突っ込んだ現場。右上にはランドセルが見える=2021年6月28日午後5時13分、千葉県八街市八街、朝日新聞社ヘリから、20210628拡大トラックが児童の列に突っ込んだ現場=2021年6月28日、千葉県八街市八街

 今回の「八街事件」では酒に酔った運転者が子どもの列に突っ込んだが、酒など飲まない運転者も前後に何十、何百といたことだろう。だが彼らの運転も、同じ道を行く子どもたちにとって、命に対する脅威となっていたという事実は変わらない。

 そして、車を運転する大人たちの行為の集積が、他の大人たちの運転を呼び、それを合理化する。そのようにして日常空間におびただしい車が走るようになれば、誰も自らの運転に疑いをもたなくなる。それどころか運転は、実に8000万人以上が免許をもつ、当たり前の気楽な行為となる。すると、わずかとはいえある割合で飲酒後にハンドルを手にする運転者が出るのは、不可避である。

 だが自動車「事故」の本質的要因は飲酒ではない。飲酒が「事故」を誘発するのは確かであり、その意味でもくり返し論じるべきだが、問題はより根本的に問わなければならない。そうでなければ、「八街事件」に類する劣悪な道路事情下での陰惨な事件も、この数年たて続けに起きた、各種事情に起因する事件(「自動車「事故」続出、実現していない人と車の分離」)も決してなくならず、子どもの命を守り切ることはできないだろう。

 どんなに迂遠に思われようと、問われるべきは自動車システムそのものである。

レールを欠く不安定な道具

 自動車システムはそれ自体に問題をはらむ。

・・・ログインして読む
(残り:約2722文字/本文:約4385文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

杉田聡の記事

もっと見る