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小西遼生インタビュー(下)

皆が信じていたものを目の前に見せる『ピーターパン』

橘涼香 演劇ライター


小西遼生インタビュー(上)

子供たちの夢の中では海賊もひとつの憧れのキャラクター

――稽古場の雰囲気はいかがですか?

 毎日笑いが絶えない楽しい稽古場です。森さんがとても緻密に作ろうとされているなかにも、まずご自身がすごく楽しんでいらっしゃるのが伝わります。僕らにも一つひとつ面白いアイディアをくれるのですが、それが上手く行った時に誰よりも笑うのも森さんで!(笑)。それって役者にとってはとても嬉しいことですし、稽古場の空気が非常に良いです。遊びどころがたくさんある舞台でもあるので、それを全力で楽しんでいます。

――共演者の方達についてはどうですか?

 僕はいまのところ海賊メンバーと一緒にいることが多くて、海賊たちの人相はあまりよろしくないのですが(爆笑)、それとは裏腹に中身はとても純粋な人たちで! 『ピーターパン』の世界、ネバーランドに存在している海賊たちって実は憎めないじゃないですか。恐怖政治をやっているのはフックだけで、そのフックもすぐ愛想を尽かされたりもして(笑)。ピーターパンが「ネバーランドにはこんな生き物がいる、人魚もいる、海賊もいるんだぞ!」と言った時に、子供たちは歓声を挙げるんです。彼らの夢の世界の中では、海賊も決して怖いだけではない、ひとつの憧れの存在の具現化なんですよね。そういうキャラクターを演じるのに、本当にピッタリの良いメンバーが集まっているので、楽しく演じています。

 あとはやはりピーターパンを演じる(吉柳)咲良ちゃんですね。彼女は四回目のピーターパン役で、ピーターパンとしての経験をたくさん積んできたなかで、森さんの演出の新しいピーターパンに挑んでいる。それは大きな挑戦だし、培ってきたものと、一回ゼロにしなければいけないものとがあるなかで、本当に魅力的に演じていて。愛おしくて、でも悲しいキャラクターでもある、きっと全てが積み重なったピーターパンとして、この舞台を引っ張っていってくれると思います。

何を作るべきかが明確に見えてくる

拡大小西遼生=渡部孝弘 撮影

――森さんの言葉のなかで、特に印象に残っているものはありますか?

 本当にたくさんのアイディアを持っている方で、しかも去年コロナ禍で上演できなかっただけに「一年間寝かせることができた」と顔合わせの時におっしゃっていて、原作の小説にしても日本語に訳されたものではなくて、原語ではどう表現されているか? までを、一つひとつ当たって考えて作られている。「ピーターパンって鳥に育てられているから、半分鳥で半分人間なんだよ」とか、僕らの知らないピーターパン情報をたくさん持っていて(笑)それを聞くのもすごく楽しいです。鶏もそうなんですけど、ピーターパンって三歩歩いたら全部忘れてしまうんです。悲しみも忘れるし、ネバーランドに連れていった子供たちの名前も飛んでいる間に一回忘れたりする。それくらい瞬間、瞬間に生きているキャラクターなんだということを森さんが教えて下さいました。そうした発見が日々とても楽しいですね。

――忘れるって大切なことでもありますけれど、大人になるとなかなかできなかったりしますよね。

 子供が色々な経験をして、記憶していって、だから大人になっていくんだと僕は思うのですが、ピーターパンはずっと子供のままなんです。それは何故かと言えばすぐに忘れるからで。でも実は覚えている瞬間もあるんだけれども、子供でいる為に敢えて忘れているのかな? と思う時もありますから、当たっているのかどうかわからないんですけれども、そう考えるとピーターパンがすごく深い人物にも見えてくるんです。そういうことを森さんはすごく的確に、しかも子供たちもいる現場ですから、とてもわかりやすく教えてくださるので、学校の先生になればいいのにと思います!(笑)

――それほど学びが多い?

 子供って単純なようですごく考えているし、でもその考えが大人のように打算的ではなくとてもシンプルなんだなということを、森さんの演出からも感じることができて。話をしていると、何を作るべきなのか? が明確に見えやすくなっていきますね。

◆公演情報◆
青山メインランドグループファンタジースペシャル
ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』
東京:2021年7月22日(木・祝)~8月1日(日) めぐろパーシモンホール 大ホール
神奈川:2021年8月7日(土)・8日(日) 相模女子大学グリーンホール 大ホール
大阪:2021年8月14日(土)・5日(日) 梅田芸術劇場メインホール
仙台:2021年8月21日(土)・22日(日) 仙台銀行ホール イズミティ21・ 大ホール
名古屋:2021年8月28日(土)・29日(日) 御園座
公式ホームページ
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[スタッフ]
原作:サー・ジェームズ・M・バリによる作品を元にしたミュージカル
作詞:キャロリン・リー
作曲:モリス(ムース)・チャーラップ
潤色・訳詞:フジノサツコ
演出:森新太郎
[出演]
吉柳咲良、小西遼生、美山加恋、瀬戸カトリーヌ、宮澤佐江 ほか
 
〈小西遼生プロフィル〉
 2005年、特撮 TVドラマ『牙狼』に、主人公・冴島鋼牙役で出演。2007年、ミュージカル『レ・ミゼラブル』でマリウス役を演じ脚光を浴びる。最近の舞台出演作品は、『GOYA』、『ポーの一族』、『ミュージカル 生きる』、『フランケンシュタイン』『オリエント急行殺人事件』など。TVドラマ、映画の他、音楽でも自身が作詞作曲を手がけるオリジナル曲でLIVE活動を続け、CD「飛魚」「空想改革 -KONISHI RYOSEI LIVE 2019-」などがある。
オフィシャルサイト
公式twitter

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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