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ワクチンのデマを信じて接種を避ける若者はなぜ多いのか?

背景にある若い世代への冷酷な政治

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

ワクチンデマが広がるのは政府にも責任がある

 このような状況を憂慮して、政府や医療関係者はワクチンの有意性や正確な副反応に関する情報を伝えようとしていますが、デマは広がりやすく真実は広がりにくいため、正しい情報が知れ渡るまでにはかなりの時間がかかりそうです。

 ただし、これには政府の責任も一部あると言わざるを得ません。政府が発する情報には信用に値しないものや、国民を欺くかのように思えるものが目立つからです。

 たとえば、モデルナのワクチン供給量が減ったにもかかわらず、河野太郎ワクチン担当大臣は事実を知ってから約2カ月も経った都議選後まで公表しませんでした。丸川珠代五輪担当大臣は東京五輪のボランティアに対して「1回目の接種で、まず一次的な免疫をつけていただく」と発言し、医療の専門家から「一次的な免疫という医学用語は存在しない」と指摘されました。ワクチン接種1日100万回の達成時期が菅首相と閣僚で異なっていたこともありました。

 薬害エイズ問題以降続く保健行政に対する根強い不信を打ち消すどころか、むしろますます不信を招く発言をしているのは自分たちであり、同じ口で「これが正しい情報です!」と言われても、信用するのは無理な話です。「反ワクチン」によるデマが拡散しやすい土壌を作っているのは、他でもない政府自身だと言えるでしょう。

若い世代でデマが広がりやすい核心的理由

6月、宮崎県延岡市の住宅街に投函された怪文書。ワクチン不要論や接種の危険性を説く内容で、差出人は匿名 一部を加工拡大6月、宮崎県延岡市の住宅街に投函された怪文書。ワクチン不要論や接種の危険性を説く内容で、差出人は匿名(一部を加工)

 それにしても、なぜ若い世代にデマを信じてしまう人が目立つのでしょうか? これに関して、一部の専門家から、若い世代ほどSNSに触れる機会が多いため、ネットのデマに晒されやすいことが原因ではないかと指摘されています。

 確かに日常生活で実際に触れ合う人々以上に価値観の近い人たちと交流することの多いSNSでは、エコーチェンバー効果(閉じたコミュニティの内部で、同じ意見が繰り返し反復されること)が働きやすく、デマが広がりやすい構造になっているというのは事実でしょう。

 ですが、私はその説にはやや疑問です。というのも、

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筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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