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松竹新喜劇は「笑いと涙」ではない。見るべきものは「カッコよさ」だ

青木るえか エッセイスト

カッコよくて、笑わせる、桐生麻耶の蜷川新右衛門

 『夏まつり特別公演』の第一部は、『新作喜劇 一休さん』で、誰でも知ってる「一休とんち咄」を下敷きにした、それこそ笑わせて最後はホロリとさせる、松竹新喜劇的にカンペキな芝居だ。ここまではいい。

 で、この『一休さん』に、OSK日本歌劇団の桐生麻耶が客演している。今年の3月までトップスターで、その後「特別専科」に移籍した男役だ。その桐生麻耶が、『一休さん』に「蜷川新右衛門」役で出ている。

 新右衛門さん。あのアニメの『一休さん』に眉毛の濃い、アゴの割れた無骨な侍が出てたでしょう、あれが新右衛門さんです。

 歌劇の男役のトップスター(だった人)が男性も出る舞台に、男役で出ることはめったにない。先日、『ポーの一族』で明日海りお(元宝塚男役トップスター)がエドガー役で男性と共演してたが、エドガーは主役で、おまけに永遠の少年だ。

 蜷川新右衛門は、脇役の無骨な侍。これは「男装の麗人」は求められていないってことです。「普通の男優」としてキャスティングされているのだ。桐生麻耶本人も「男として出演させていただきます」と言っていた。

 この人は「唯一無二の男役」というのがトップスター時代の惹句だったが、確かにそりゃ唯一無二だよ、こんなことできるトップスターはおらんよ。

 で、この『一休さん』における蜷川新右衛門がすごかった。

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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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