メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

非常事態と対峙する君子、佐々木蔵之介が演劇に

中国「清」の雍正帝に見るリーダー像【下】

阿部修英 テレビディレクター

 中国・清の第5代皇帝・雍正帝の治世から現代の危機に向き合うヒントを探る論考の後編です。赤字財政を建て直し、地方行政を充実させた雍正帝が取り組んだ、次の課題は――。前編はこちらです。

徹底的に議論、対立を乗り越える

 雍正帝が向き合った三つめの非常事態は「分断」だった。

 コロナ禍で欧米中心に広がった、アジア系市民へのいわれ無き嫌悪。日本でも入管施設でのむごい事件や、過剰なヘイトスピーチの問題が続発している。

拡大雍正帝
 こうした民族、文化の違い、「分断」による対立、亀裂、不合理は、人類がずっと解決できずにきた課題だ。

 大清帝国でも、先に述べたように満族の支配に不満を抱く漢族がたくさんいた。そして雍正帝の時代に、ある事件が起きる。

 都・北京から離れた南部で、漢族の曾静という学者が、大清帝国の大軍を率いる漢族の将軍に、反乱を持ちかけたのだ。もともと漢族の富裕層が多く住む南部。もし反乱が起き、富裕層が支援すれば国は分断する。しかしこの将軍は忠義が厚かったのか、あるいは雍正帝の地方への鋭き「眼」を恐れたのか、曾静を逆に逮捕、死刑にすべきだと報告する。

 だがそれに対し雍正帝が行なったのは、ことを起こした学者の曾静を、徹底的に「論破」することだった。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

阿部修英

阿部修英(あべ・のぶひで) テレビディレクター

大阪府出身。東京大学文学部卒業、同大学院人文社会系研究科(美術史学)修了。2005年、映像制作会社テレビマンユニオンに参加。これまで、NHK総合「NHKスペシャル 中国文明の謎」(2012)、「NHKスペシャル 故宮」(2014)、「よみがえる藤田嗣治」(2018)、NHK-BSプレミアム「中国王朝シリーズ」(2015~2020)などの演出を手掛ける。演出したNHK-BSプレミアム「アナザーストーリーズ 運命の分岐点 We Are The World 奇跡の一夜 10時間の真実」で第56回ギャラクシー賞奨励賞を受賞。2021年4月からのEテレ「ズームバック×オチアイ」の総合演出を担当した。『君子無朋』で初めて戯曲を執筆した。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

阿部修英の記事

もっと見る