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映画『パンケーキを毒見する』を大学生が見たら──河村光庸氏との対話

学生は、現実をターゲットにした映画を待っている

古賀太 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

「こんな総理だったとは知らなかった」

 実は私個人が日芸試写の前に見て一番おもしろかったのは、自民党現職議員の石破茂氏や村上誠一郎氏が正面から菅首相批判をするところだった。特に石破氏は「この世界に35年いて、(今の国会は)初めての言論空間。Aと言えばBと答える。かみ合っていない」と言い、菅首相の答弁をこき下ろす。村上氏は「今までの総理大臣には、上に立つものとしての見識があったが、菅さんにはない」。彼らは自らの政治生命をかけて発言したはずだ。

©2021『パンケーキを毒見する』製作委員会拡大©2021『パンケーキを毒見する』製作委員会

 ところが上映後のアンケートで、ここがおもしろいと書いた学生は1人もいなかった。彼らが一番興味を持ったのは、法政大学の上西充子教授による国会答弁のノーカット中継の解説。日本学術会議の任命拒否問題に関して立憲民主党の辻元清美議員や蓮舫議員の質問に対する総理の答弁だが、確かに全く答えになっていない。我々はこのことは既にテレビや新聞で何度も見聞きしているが、ネットで流れるニュースしか知らない学生にとっては新鮮だったようだ。ある学生は「菅首相はコロナ対策が中途半端だと不満はあったが、こんな総理だったとは知らなかった」と書いた。

©2021『パンケーキを毒見する』製作委員会拡大©2021『パンケーキを毒見する』製作委員会
©2021『パンケーキを毒見する』製作委員会拡大©2021『パンケーキを毒見する』製作委員会

 そもそも映画自体も極めて評判がよかった。アンケートにはこの映画に100点満点で点数をつける欄があったが、平均は

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筆者

古賀太

古賀太(こが・ふとし) 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

1961年生まれ。国際交流基金勤務後、朝日新聞社の文化事業部企画委員や文化部記者を経て、2009年より日本大学芸術学部映画学科教授。専門は映画史と映画ビジネス。訳書に『魔術師メリエス――映画の世紀を開いたわが祖父の生涯』(マドレーヌ・マルテット=メリエス著、フィルムアート社)、共著に『日本映画史叢書15 日本映画の誕生』(岩本憲児編、森話社)など。個人ブログ「そして、人生も映画も続く」をほぼ毎日更新中。http://images2.cocolog-nifty.com/

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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