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子どもの通学路を学校教職員・教委関係者は歩いて通勤すべきだ

「八街事件」が学校関係者につきつけたもの

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

マイカー通勤が問題である

mshinshutterstock拡大mshin/Shutterstock.com

 いろいろな要因があろうが、これら関係者が現場の危険性を自らの問題として考慮できなかったこと、そしてそれは、多かれ少なかれマイカー通勤を日常事としているその姿勢に由来する、と私は判断する。

 一般に、比較的交通量の多い中心街にある役所=本庁の場合(その職員は、公共交通があるていど生き残っていればこれを利用できる)と異なり、自治体の各地域に分散した小中学校の場合は、マイカー通勤者が圧倒的であろう。私は調査時等によく学校の様子を見聞きしてきたが、その一角を占める教職員用駐車場(それはかなり場所をとる。校庭が小さい学校ではその数割に達する場合もある)に、多くの車がずらりと並んでいるのが常である。

 一定年限ごとに各地への異動がありうる小中学校の教職員としては、どこに異動となろうと、マイカーに頼れば通勤問題はかたづくだろう。だがそうした姿勢に甘んずれば、致命的なことに、子どもが日々に歩いて通う道々の状況を満足に知ることができなくなる。

 一定の情報を得ていたとしても、それは結局運転者の視点に立った、ただの知識でしかなくなる可能性が高い。残念だが人の置かれた立場は、その認知に決定的な相違をもたらすものである。最近の痛ましい例で言えば、私は音楽家・小山田圭吾氏の「事件」を前に(その「いじめ」は陰湿・残酷すぎる)、いじめる側が、いじめられる側の苦しみをかくまでに無視しうるという事実に、身震いせざるをえなかった。

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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