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ミュージカル『ジェイミー』森崎ウィンインタビュー(上)

ポップな作品のなかでジェイミーが抱えている傷を繊細に表現したい

橘涼香 演劇ライター


 高校のプロム(卒業行事)にドラァグクイーンとして出席したいと夢みた16歳のジェイミーが、学校や教師、保護者からの猛反対を受けながらも「自分らしく」あることを求めて、逆境のなか偏見を乗り越えていく姿を描いたミュージカル『ジェイミー』が8月8日~29日東京建物Brillia HALL で日本初演の幕を開ける(大阪・愛知公演あり)。

 英BBCで放送されたドキュメンタリー番組“Jamie; Drag Queen at 16”を原作にしたこの作品は、2017年イギリスのサウス・ヨークシャーのシェフィールド劇場にて開幕するや、たちまちにして大評判となり、同年、ロンドン・ウエストエンドでの上演が決定。現在もロングラン上演を続け、2018年にはイギリス全土の映画館でミュージカルのライブ上映がおこなわれたほか、ミュージカル映画としても公開が予定されている話題作だ。

 物語のなかにはドラァグクイーンに憧れる主人公ジェイミーだけでなく、多種多様な若者たちが登場。イギリスのロックバンド「ザ・フィーリング」のリードシンガーであるダン・ギレスピー・セルズによる音楽のホットなエネルギーにあふれた音楽に乗せて繰り広げられるダンスシーン、誰もが持つ心の中の葛藤を描いたストーリーが、多様性を認め合おうという現代の理想にベストマッチして、喝采を集め続けている。

 そんな作品の日本初演で、髙橋颯とのWキャストでタイトルロールのジェイミーを演じる森崎ウィンが、作品の魅力、共演者のこと、そして自らが演じる主人公ジェイミーへの想いを語ってくれた。

作品に触れるほど伝えようとしていることの重みを感じる

拡大森崎ウィン=森好弘 撮影

──お稽古たけなわとのことですが、いまの稽古場の雰囲気はいかがですか?

 1幕がほぼ完成形に近づいてきたところで、形が整いつつはあるのですが、その中でもまだまだやれることはたくさんありますから、ギリギリまで模索を続けながら、キャスト一同一丸となって作っているところです。

──そういう段階にきているいま、改めて作品に感じている魅力を教えてください。

 稽古が進むにつれて、また僕が色々なことを勉強していくなかで、このコロナ禍のいま、本当に上演するべき作品だなということをとても感じています。作品に触れれば、触れるほど、伝えようとしていることの重みを僕のなかで感じていて。この作品は、どんな状況のなかでも「自分らしくいる」ということの大切さを描いていて、果たして自分がジェイミーとして、それをどこまでお伝えすることができるんだろうか?という不安もあります。でもそうした伝えたいテーマに比べて、とてもポップな印象のミュージカルになっているのも素晴らしいので、生きる力、前に進む力を与えてくれる作品だなと感じています。

拡大森崎ウィン=森好弘 撮影

──深いテーマとエンターテインメント性が両立してくれているというのは、観劇する側にとっても嬉しいことですが、そのなかで演じる主人公・ジェイミー役についてはどう感じていますか?

 とても難しい役なんです! 心に傷を抱えているからこそ、人前で明るく振る舞うところもあって。「LGBTQ」の、ジェイミーと同じ立場でこの世の中に生きている方々を代表して、と言ってしまうと大変おこがましいのですが、そうした方々の抱える辛さって計り知れないものなのだろうなと、いま改めて感じています。それをもちろんおっしゃってくだったようにエンターテインメントのなかで感じていただいて、その思いを知り、そこからまた進んでいく。そうしたきっかけのひとつにつながっていくようにできたらいいなと思っています。

──「多様性を認めましょう」という言葉は、非常によく使われるようになっていますが、それを更に身近なものに感じさせる?

 そうなんです。そうできたらいいなと思いますし、表現としては色々な場面があって、ミュージカルですからやることもたくさんあるのですが、そのなかでもジェイミーが抱えている傷については、常に感じて、繊細に表していきたいです。

◆公演情報◆
ミュージカル『ジェイミー』
東京:2021年8月8日(日)~29日(日)  東京建物Brillia HALL
大阪:2021年9月4日(土)~12日(日)  新歌舞伎座
愛知:2021年9月25日(土)~26日(日)  愛知県芸術劇場 大ホール
公式ホームページ
[スタッフ]
音楽:ダン・ギレスピー・セルズ
作:トム・マックレー
日本版演出・振付:ジェフリー・ペイジ
翻訳・訳詞:福田響志
[出演]
森崎ウィン・髙橋颯 (WATWING)(Wキャスト)/安蘭けい
田村芽実・山口乃々華(Wキャスト)、 佐藤流司・矢部昌暉(Wキャスト)
伊藤かの子、太田将熙、川原一馬、小西詠斗、鈴木瑛美子、田野優花、フランク莉奈、MAOTO
樋口麻美、実咲凛音、永野亮比己、泉見洋平、吉野圭吾
保坂知寿、今井清隆、石川禅
 
〈森崎ウィンプロフィル〉
 2008年テレビドラマで俳優デビューし、ドラマや映画、舞台などで幅広く活躍。2020年7月1日MORISAKI WINとして、配信シングル『パレード – PARADE』でメジャーデビューを果たす。最近の出演舞台作品は、米倉涼子×城田優 エンタテインメントショー『SHOWTIME』、『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2など。2022年8月~、ミュージカル『ピピン』に出演することが決まっている。
公式ホームページ
公式twitter 

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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