映像美、音楽の魅力、肉体の躍動……どう描く
2021年08月04日
「奈々福さん、『シコふんじゃった。』を浪曲にしてもらえませんか」
映画監督の周防正行さんから、前触れもなく正面切っていきなり言われたのは、NHKの「SWITCHインタビュー達人達」という対談番組の、収録本番のときでした。
それにしてもですよ。
「シコふんじゃった。」を浪曲に!
と、言われたときの、私の顔……あとから映像チェックして笑っちゃった。
眼をむいて、驚いてました。
だって、そうでしょう?
大ヒット映画ですよ。名作ですよ。
1992年公開の、私、だいっすきな映画なんです。
その監督じきじきに。
ご指名で。
直接に。
「浪曲にしてもらえませんか」
アンビリーバボーーーーーッ!
う、う、うれしいっ!
よ~し、作るぞっ!と、鼻息荒くなったんですが。
これがねえ。新作作るって容易じゃないんですよ。
好きであればあるほど。
過去にもこんな経験がある。
故・十八代勘三郎丈がご襲名の公演でかけられた歌舞伎演目「野田版 研辰の討たれ」。
これ、もう素晴らしい歌舞伎でした。
拍手が鳴りやまなかった。歌舞伎座で、スタンディングオベーション。
「嗚呼っ! 私が浪曲でやりたかったことはこれだっ!」
とすっかり惚れこんで、DVD買って、野田秀樹さんの戯曲版を買って……でも。
作品がすごすぎて、手が付けられない。
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