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コロナワクチンを巡るデマはなぜ生じやすいのか──山口真一氏に聞く(上)

不安や怒りが、ところどころに真実を含むデマやフェイクニュースを拡散させる

鈴木理香子 フリーライター

取っ散らかっている正しい情報

Halfpointshutterstock拡大Halfpoint/Shutterstock.com

──最近、政府がワクチンデマを問題視しているのは、これがワクチン接種の遅れにつながるという危惧からですよね。

山口 そうです。デマが広まればワクチンに対する誤ったネガティブなイメージがつき、接種が遅れることが懸念されます。ワクチンを接種する・しないは、個人がさまざまな情報を基に判断すべきことですが、デマが広く拡散すれば、そのような人々の判断を歪め、社会全体にとってマイナスの影響があります。

──ワクチンデマについては、厚生労働省はウエブサイト上で注意喚起をしています(「新型コロナワクチンの副反応疑い報告について」)。「ワクチン接種が原因で、何らかの病気による死亡者が増えるという知見は得られていません」とか、「海外の調査によれば、接種を受けた方に、流産は増えていません」とか。

山口 そうですね。我々から見ても、新型コロナワクチンに関しては、厚生労働省も内閣府もデマの打ち消しを含め、さまざまな情報を発信していると思います。しかし、いかんせん全体的にまとまりがなく、取っ散らかっている印象もあります。つまり、どこに行けばどういう情報が得られるのか、わかりづらい。一元的にチェックできるプラットホームにまとめてくれれば、一般の人も正しい情報に簡単にアクセスできるようになるのではないでしょうか。

──その通りですね。しかしなぜここまでワクチンに対するデマが広がるのでしょう?

山口 新型コロナに限らず、昔からワクチンを巡ってはデマが生じやすいと言われています。そこには概ね3つの理由があると考えています。

 1つめは「多くの人にかかわることで、関心が高い」という理由です。国は接種を推奨していますが、ワクチンは体内に入れるものなので、有効性もさることながら、安全性はどうなのか多くの人が気にしています。ワクチンメーカーなどが成分や副反応について公表していますが、それでも人々の不安をあおるようなデマやフェイクニュースが出やすく、伝わりやすいといえます。

 2つめは「高度な専門知識が必要」という理由です。ワクチンに限らず病気や医療に関する内容は総じて専門性が高く、一般の人が理解しにくい。新型コロナやワクチンに関しても一般の人には医学的な知識があまりないので、どうしても不安に陥りやすい。そういう状況だとデマやフェイクニュースが広がりやすいといえます。

 実際、デマを流すインフルエンサーのなかには、海外の英語の論文を引用しながら「それっぽく」説明し、読み手の怒りや不安をあおっている人もいますが、実際には翻訳を誤っていたり、拡大解釈していたりします。しかしそこが重要なポイントで、これはフェイクニュース全般にいえることですが、すべてウソではなく、ところどころ真実を入れたほうが説得力は増す。専門的な知識がない人にとっては、「正しいことを言っている」とデマを信じてしまうのです。

 3つめは

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筆者

鈴木理香子

鈴木理香子(すずき・りかこ) フリーライター

TVの番組製作会社勤務などを経て、フリーに。現在は、看護師向けの専門雑誌や企業の健康・医療情報サイトなどを中心に、健康・医療・福祉にかかわる記事を執筆

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです