メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

音楽総監督・下野竜也と「Music for Peace」の道を行く広島交響楽団

第51回ENEOS音楽賞洋楽部門奨励賞を受賞した地方オーケストラの老舗

池田卓夫 音楽ジャーナリスト

50代を目前に初めてトップに就任

 一方、下野は2000年の東京国際音楽コンクール、翌年の仏ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝したのを機に、日本で最も多忙な指揮者の仲間入りをした。ただ、どのオーケストラでも監督を補佐する次席。50代を目前に得た広響音楽総監督は、初めて手にしたトップポストだった。

 「期待、気負いが大きく、最初の1~2年は手探りでしたね」と下野。渡邊から秋山に至る33年間の蓄積を踏まえ、「『Music for Peace(音楽で平和を)』の標語が象徴する外に向けたメッセージを意識し、秋山先生が目指したレベル向上の手綱を緩めずに過去5年、自分の考え方や音楽づくりを浸透させてきました」と言う。

 下野にとって幸運だったのは「楽員の仲がいい」ことだ。

 「就任時点の平均年齢は50歳を超えていたのですが、管楽器を中心に世代交代が進み、随分と若返りました。世代間の対立は一切なく、ベテラン勢が若手を可愛がり、若手も遠慮なくガンガン弾き、バランスがすごく良いのです」

理想の響き、音の出し方を追求

 優れた〝楽器〟を得た下野は、ウィーン留学時代(1998ー2001年)に確信した自身の理想とする響き、音の出し方を広響で粘り強く実践に移している。

 「和音をただきっちり合わせるのではなく、

・・・ログインして読む
(残り:約1870文字/本文:約3618文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

池田卓夫

池田卓夫(いけだ・たくお) 音楽ジャーナリスト

1958年東京都生まれ。81年に早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業、(株)日本経済新聞社に記者として入社。企業や株式市場の取材を担当、88〜91年のフランクフルト支局長時代に「ベルリンの壁」崩壊からドイツ統一までを現地から報道した。音楽についての執筆は高校在学中に始め専門誌へも寄稿していた。日経社内でも93年に文化部へ移動、95〜2011年に編集委員を務めた。18年9月に退社後は「音楽ジャーナリスト@いけたく本舗」を名乗り、フリーランスの執筆、プロデュース、解説MC、コンクール審査などを続けている。12年に会津若松市で初演(18年再演)したオペラ「白虎」(加藤昌則作曲)ではエグゼクティブプロデューサーとなり、三菱UFJ信託芸術文化財団の佐川吉男賞を受けた。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

池田卓夫の記事

もっと見る