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池田純矢インタビュー(上)

エン*ゲキ#05『–4D–imetor』、1年を経てより進化し開幕

真名子陽子 ライター、エディター


 エン*ゲキ#05『–4D–imetor(フォーディメーター)』が紀伊國屋ホールで開幕しました(15日まで。その後、大阪公演あり)。2020年5月に上演する予定がコロナ禍で全公演中止に。しかし主宰する池田純矢さんは完全な中止ではなく日程を繰り延べて、この度いよいよ上演されることになりました。

 『–4D–imetor』は、池田純矢さんが作・演出を手がける「エン*ゲキ」シリーズの5作目で、今作では池田さん自身も出演し、生駒里奈さんとのW主演になります。量子力学をテーマに繰り広げられる謎解きミステリーとありますが、難しく考えず何も考えずに観に来て欲しいと池田さんは語っています。

 1年延期になったことでブラッシュアップされたこと、演劇、エンターテインメントへの新たな思い、自粛時間中に興味を持ったものなどをお伺いしています。前回のインタビュー記事と合わせて読んでいただけると、より作品の本質に触れることができると思います。

★前回のインタビューはこちら
https://webronza.asahi.com/culture/articles/2020041600005.html
https://webronza.asahi.com/culture/articles/2020041600006.html

ワースト3に入るくらいショックな出来事だった

拡大池田純矢=森好弘 撮影

――元は2020年5月に上演予定でしたがコロナの影響で中止になりました。その時の心境を聞かせてください。

 皆さんもそうだったと思うのですが、コロナが流行り始めた頃は、1、2カ月もすれば収まるだろうと考えていと思うんです。ただ、前回インタビューしていただいた頃(3月)には、どうなるんだろう? できるのか? できないかも? という状況になっていたので、覚悟はできていました。覚悟せざるを得なかったというのが正しいかな。

拡大池田純矢=森好弘 撮影

――確かに、ここまで長引くとは最初は思っていなかったですね。

 そうですよね。その中で、中止にしましょうと発表しましたが、実際は、絶対にやりたいから日程を繰り延べて上演しようと決めました。世界的にいろんなことが変わっていきましたし、エンターテインメントの世界も、それ以上に社会全体すべてが混乱していた状態でしたので、その中で自分たちだけ思い通りにできるとは到底思ってはいませんでした。仕方ないという気持ちでした。

 長く準備してきた作品で、約10年前に構想して、2年かけて組み立てなおして、ようやく上演できるという感触を持って、さあ稽古を始めるぞというタイミングだったんですね。世の中の大変なことに比べたら、ひとつの作品が上演できないということはそんなに大したことではないんだけど、僕一人の人生においては、ワースト3に入るくらいショックな出来事でした。前回の『絶唱サロメ』のときに、未曽有の大型台風がきて土日の公演を中止したときも心を痛めて、二度とこんな思いはしたくないと思っていた矢先に、上演できないという、それよりも大きな出来事でしたので、やっぱりへこみましたね。

――中止して終わりではなく、繰り延べて上演するとすでに決めていたんですね。

 今回は中止にしましょうということは、スタッフ含めてみんなの中で明確な答えとしてあったのですが、ただ自分からは延期にしたいということを伝えました。演者やスタッフのみなさん一人ひとりに連絡をとって、今回は叶わなかったけれど必ずやるので、その時は力を貸してくださいとお願いしました。

僕自身がこの作品に励まされた

拡大池田純矢=森好弘 撮影

――1年経って作品の内容についてブラッシュアップしたところなどはありますか?

 アトラクション・エンターテインメントとして、お客様と触れあってイリュージョンを一緒に体感していただく、ということを前面に打ち出していたのですが、やはり触れあうことができなくなったので、そこは変更せざるを得なかったですね。とはいえ、触れあえないからパワーダウンするのはつまらないと思ったので、それを逆手に取って、触れあえないからこそより驚くような演出ができないか、ということをイリュージョン監修兼俳優で入ってもらっている新子景視さんと打合せをしました。何で?という驚きをより深く大きくしようと。触れあってはいないけれど、お客さまの脳の中を覗くような感じかな。ステージと客席が隔てられているからこそ、あり得ない驚きを表現できないかなと考えて取り入れたことが大きな変更点ですね。

 そもそも、何が人を人たらしめるんだろう? 人間って自分ってなんなんだろう?というのが作品のテーマとしてあるんです。主人公のノアは記憶を失い、自分は何者なのかを知るために自分のルーツを辿り、アドベンチャーしていくという物語なんですけど、コロナ禍を経て今、そのテーマがよりダイレクトに伝わるんじゃないかなと思いました。

◆公演情報◆
エン*ゲキ#05『–4D–imetor(フォーディメーター)』
東京:8月5日(木)~15日(日)  紀伊國屋ホール
大阪:8月28日(土)~29日(日)  COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
公式サイト
作・演出:池田純矢
出演:生駒里奈×池田純矢
村田充
松島庄汰 田村心 新子景視
藤澤アニキ 北村海 町田尚規 松本城太郎 前田りょうが 春本ヒロ
阿南健治
 
〈池田純矢プロフィル〉
 2006年「第19回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で準グランプリを受賞しデビュー。俳優としてドラマ、映画、舞台で活躍するほか、2015年に自身が作・演出を担う企画「エン*ゲキ」シリーズを立ち上げ、脚本家・演出家としてのキャリアをスタート。2018年には「LADY OUT LAW!」で脚本提供するなど、クリエイターとして外部作品に参加している。
公式twitter

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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