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カンヌ国際映画祭リポート(上)――コロナ禍で2年ぶりに“再会”

女性初の単独パルムドール(最高賞)受賞、濱口竜介作品に脚本賞

林瑞絵 フリーライター、映画ジャーナリスト

コンペは豪華な布陣

スターがレッドカーペットを歩くメインの上映会場リュミエール 劇場拡大カンヌ国際映画祭で、出演したスターがレッドカーペットを歩くメインの上映会場「リュミエール劇場」=撮影・筆者

 公式セレクションの作品数は86本。ここに監督週間や批評家週間といった非公式部門の作品が加わる。最高賞パルムドールの対象となるコンペティション部門は、2019年の21本から増え24本に。このうち国別の最多はフランスの7本。

 もちろんどの国際映画祭でも自国の映画を多めに選ぶ傾向はあるだろう。しかし今回はロックダウン下に特別措置を講じ、映画制作を奨励した文化政策の力が大きい。パルムドールを獲得したジュリア・デュクルノーの『チタン』、フランソワ・オゾンの『Tout s'est bien passé すべてうまくいった』、カトリーヌ・コルシニの『La Fracture 骨折』などは、コロナ禍で撮影中止や延期に見舞われながらも特別措置で完成にこぎ着けた。

 コロナ禍の撮影が難しかったアメリカは3本、フランス以外のヨーロッパは7本、アジア、中東、アフリカは各2本、オセアニアは1本。中南米に至ってはゼロだった。ただし年々共同製作が一般化し国籍の線引きが難しい作品も多い。カンヌの公式サイトで便宜上“フランス映画”と記載されたレオス・カラックスの『アネット』だが、フランスの他にアメリカ、メキシコ、スイス、ベルギー、日本(ユーロスペース)、ドイツが製作国に名を連ね、撮影はアメリカ、言語は英語の作品だ。

 コンペ内ですでに世界三大映画祭の最高賞を獲得した監督はジャック・オディアール、ナンニ・モレッティ、アスガー・ファルハディら6人。ポール・ヴァーホーベン、レオス・カラックス、ウェス・アンダーソンら、昨年からリアル開催の今年まで出品を持ち越した監督も多い。さらにショーン・ベイカー、ナダヴ・ラピドら注目の新鋭も加わり豪華な布陣となった。

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筆者

林瑞絵

林瑞絵(はやし・みずえ) フリーライター、映画ジャーナリスト

フリーライター、映画ジャーナリスト。1972年、札幌市生まれ。大学卒業後、映画宣伝業を経て渡仏。現在はパリに在住し、映画、子育て、旅行、フランスの文化・社会一般について執筆する。著書に『フランス映画どこへ行く――ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』(花伝社/「キネマ旬報映画本大賞2011」で第7位)、『パリの子育て・親育て』(花伝社)がある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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