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「おかえりモネ」はダメ方向だった、けどこのままで終わる子じゃない

矢部万紀子 コラムニスト

東日本大震災への思いが、なかなか描かれず……

 そして当のモネだが、演じる清原果耶さんの雰囲気そのままに、口数少なく、自分で自分をどうしたいのかわからない、そんな女子だ。妹(水産高校で研究に打ち込んでいる)や東京から通ってくる医師(比較的年齢が近い)のように、すでに道を見つけている人をまぶしく見ている。うん、そこから道を見つけて行くのが朝ドラだよ。モネを見守った。

 が、今日も見守り、明日も見守り、徐々に「ちょっと見守り時間、長いかも」という気持ちに。気象予報士になることはスタート前から告知されていたし、森林組合に気象予報士がやってくるなど、布石も打たれる。が、まとめるなら「モネは仕事に取り組み、少しずつ成長しています」。そういう話が続く。

 だからだろうか、SNS上の話題の中心は、坂口健太郎さん演じる菅波医師だった。東京と登米を行き来しながら、モネの気象予報士試験の勉強を見てくれる。理屈っぽく、ぶっきらぼうで、優しさまるわかり。そのままラブコメキャラだから、「モネとの恋」を皆が期待していた。

坂口健太郎さん=拡大坂口健太郎さん=撮影・篠塚ようこ

 見守りに疲れた私も、坂口さんのカッコ良さをかみしめていた。彼は朝ドラ「とと姉ちゃん」(2016年)でもヒロインの恋人だったが、悲恋に終わった。植物を研究する学生役で「葉っぱの兄ちゃん」と呼ばれていた。そう呼んだのはヒロイン一家が間借りした先の主人で、それはピエール瀧さんだった。と、余計なというか、豆知識というか、そんなことを思う。要は気が散る事態に陥っていた。

 モネの東日本大震災への思いが、なかなか描かれない。それが大きかった。震災当日、島にいなかったモネは、複雑な感情を抱いている。予告編でもそう強調されていたのに、なかなか描かれない。

 その日、モネは高校受験の発表で父と仙台にいた。やっと島に帰り、避難所で妹や友人と再会した。その瞬間の不穏な雰囲気が、回想シーンから伝わってきた。だから「複雑な感情」はだいたい想像はつくが、

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筆者

矢部万紀子

矢部万紀子(やべ・まきこ) コラムニスト

1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長をつとめた後、退社、フリーランスに。著書に『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)、『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)。最新刊に『雅子さまの笑顔――生きづらさを超えて』(幻冬舎新書)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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