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小田急線「フェミサイド」、女性憎悪は最も差し迫った“テロリズム”だ

危険思想が広がる中で起こるべくして起こった事件

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 小田急線車内で女子大学生が面識の無い男性から突然牛刀で刺されて重傷を負うなど10人が負傷するという凄惨な事件が発生しました。

 殺人未遂容疑で逮捕された対馬悠介容疑者は、動機として「幸せそうな女性を見ると殺したいと思うようになった。誰でもよかった」「ターゲットにしている勝ち組の女性に見えたので狙った」と供述し、「幸せそうな人を見ると殺したい」「ターゲットにしている勝ち組に見えた」とは言っていません。つまり、女性に対する強い憎悪をもつヘイトクライムであり、不特定の女性を狙った無差別「フェミサイド(女性であるという理由で行われる男性による殺人)」だと言えるでしょう。

小田急線車内で女子大学生らを刺傷し逮捕された対馬悠介容疑者=2021年8月8日拡大小田急線車内で女子大学生らを刺傷し逮捕された対馬悠介容疑者=2021年8月8日

無差別フェミサイドが起こるのは「懸念していた通り」

 しかし、正直なところ、女性に対する暴力の問題にアンテナを立てている人々からすると、このような無差別フェミサイドが起こるのは「懸念していた通り」だと思います。私も長い間ずっと警鐘を鳴らしてきました。というのも、既に北米や韓国等で類似のケースが続発しているからです。

 2014年にアメリカ・カリフォルニア州で銃乱射事件を起こして男女計6名の学生を死亡させたエリオット・ロジャーは、強烈な女性憎悪をインターネット上で語っていました。事件以降、彼は神格化され、模倣犯による多くの乱射殺人事件が発生しています。韓国では2016年に「江南通り魔殺人事件」が発生し、加害者が「女性を狙った」という趣旨の発言をしたことから、女性蔑視による事件として社会問題化しました。

 つまり、女性憎悪は現代社会の主要なテロリズムの一つと化していると言っても過言ではないのです。テロリズムというと、アルカイダやIS(イスラム国)のようなイスラム過激思想をイメージする人が多いかもしれません。しかし、男性は実感を持ちにくいでしょうが、今や私たちの身近に迫っているのは、この「女性憎悪のテロリズム」だと思うのです。

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筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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