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#小田急線刺傷事件をフェミサイドと言わないマスコミと政治家に抗議します

女性憎悪に焦点が当たるのを避けたい男性権力者たち

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 前回の記事「小田急線「フェミサイド」、女性憎悪は最も差し迫った“テロリズム”だ」では、小田急線で起こった刺傷事件は明らかなフェミサイド(女性であるという理由で行われる男性による殺人)であり、あのような事件を起こす「女性憎悪テロリズム」は、現代社会の治安問題として最も警戒しなければならない「危険思想」の一つだと説きました。

 女性の安全な暮らしが脅かされているわけであり、政治家やマスメディアは当然しっかりとした危機意識を持つべきだと思いますが、残念ながら、そのような政治家やマスメディアはごく少数のように思います。

 それどころか、女性憎悪という事件の特徴について言及したマスメディアすら、私が探した限り、あまり発見できませんでした。Googleのニュース検索をすると一目瞭然ですが、「フェミサイド」という言葉もほとんど使われていません。

送検のため警視庁成城署を出る対馬悠介容疑者(後部座席中央)=2021年8月8日午前8時33分、東京都世田谷区拡大送検のため警視庁成城署を出る対馬悠介容疑者(後部座席中央)=2021年8月8日、東京都世田谷区

なぜ、マスメディアは「フェミサイド」と言わないのか?

 たとえば、テレビ朝日のニュースでは、フェミサイドという言葉を用いながらも、「小田急刺傷はフェミサイド?“決め付け”に懸念も」というタイトルで、フェミサイドであることを否定する一部のネットユーザーの声を紹介しています。

 ですが、他の刺傷事件でこのように報じるでしょうか? 仮に、加害者が「積年の恨みがあり、復讐するために殺した」と動機を供述した刺傷事件があったとして、「○○死傷事件は恨みをはらす目的の殺人?“決め付け”に懸念も」というタイトル付けをするとは思えません。もしそうすれば、「犯人は恨みがあると供述しているのに、なぜ専門家でもない人々が憶測で否定した意見をわざわざ大きく報じるのか」とツッコミが多数入るでしょう。

 加害者の供述が嘘ではない限り、フェミサイドであることがほぼ確実であるにもかかわらず、こうして何とか断定を避けようとする態度は、「フェミサイドであることを疑いたい、認めたくない」という意思があるように思えてなりません。

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筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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