連載 社会制度としての仏教を考える
お盆の風景
今年のお盆は、コロナ禍となって2回目となった。
例年はこの時期、実家に帰る人、レジャーに向かう人で交通機関は混雑するが、今年は去年に引き続き自粛ムードの中でのお盆休みとなった。
お盆というのは、亡くなった家族(先祖)の霊がこの世に戻ってきて、私たちと一緒に暮らす行事だと理解されている。

スーパーに設けられたお盆のコーナー=筆者提供
現代でも、お盆の入りの8月13日になると、家々の玄関先で迎え火を焚いて死者の霊を迎える風景をよく見かける。筆者は東京に住んでいるが、今でもこうした迎え火を焚く家が少なくなく、麻(お)がら(麻の茎を乾燥させたもの)の燃える香りは、マンション住まいの私にも、「ああ、今年もお盆の季節が来たんだな」と感じさせてくれる。
お盆が近くなると、スーパーなどにも、送り火や迎え火を焚く麻がら、盆棚をしつらえるためのゴザ(敷きもの)、お供え物を乗せるための蓮の葉などを販売する特設コーナーが設けられるのも、このお盆の習慣が根強く残っていることを示している。
お盆休みには実家に帰って、家族親族といっしょに、亡くなった家族とも時間を共にしたいと考えている人も多い。このような時代になっても、お盆は日本人にとってとても大切な行事なのである。