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教義では説明できないお盆という行事──この世に戻ってきた死者と過ごす

[9]「見えない宗教」としての葬式仏教

薄井秀夫 (株)寺院デザイン代表取締役

お盆の風景

 今年のお盆は、コロナ禍となって2回目となった。

 例年はこの時期、実家に帰る人、レジャーに向かう人で交通機関は混雑するが、今年は去年に引き続き自粛ムードの中でのお盆休みとなった。

 お盆というのは、亡くなった家族(先祖)の霊がこの世に戻ってきて、私たちと一緒に暮らす行事だと理解されている。

筆者提供拡大スーパーに設けられたお盆のコーナー=筆者提供
 現代でも、お盆の入りの8月13日になると、家々の玄関先で迎え火を焚いて死者の霊を迎える風景をよく見かける。筆者は東京に住んでいるが、今でもこうした迎え火を焚く家が少なくなく、麻(お)がら(麻の茎を乾燥させたもの)の燃える香りは、マンション住まいの私にも、「ああ、今年もお盆の季節が来たんだな」と感じさせてくれる。

 お盆が近くなると、スーパーなどにも、送り火や迎え火を焚く麻がら、盆棚をしつらえるためのゴザ(敷きもの)、お供え物を乗せるための蓮の葉などを販売する特設コーナーが設けられるのも、このお盆の習慣が根強く残っていることを示している。

 お盆休みには実家に帰って、家族親族といっしょに、亡くなった家族とも時間を共にしたいと考えている人も多い。このような時代になっても、お盆は日本人にとってとても大切な行事なのである。

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筆者

薄井秀夫

薄井秀夫(うすい・ひでお) (株)寺院デザイン代表取締役

1966年生まれ。東北大学文学部卒業(宗教学専攻)。中外日報社、鎌倉新書を経て、2007年、寺の運営コンサルティング会社「寺院デザイン」を設立。著書に『葬祭業界で働く』(共著、ぺりかん社)、 『10年後のお寺をデザインする――寺院仏教のススメ』(鎌倉新書)、『人の集まるお寺のつくり方――檀家の帰属意識をどう高めるか、新しい人々をどう惹きつけるか』(鎌倉新書)など。noteにてマガジン「葬式仏教の研究」を連載中。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです