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『検察側の証人』に出演! 瀬奈じゅんインタビュー(上)

25年前の出会いからこの舞台にいつか出たいと思っていた

橘涼香 演劇ライター


 ミステリーの女王と讃えられる推理作家であり、戯曲作家としても数々の傑作を残したアガサ・クリスティによる法廷劇の決定版『検察側の証人』が、いま最も注目を集める演出家の一人小川絵梨子自らの新翻訳・演出によって8月28日~9月12日東京・世田谷パブリックシアター、9月16日~20日兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、9月23日~28日大阪・枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホールで上演される。

 『検察側の証人』は、『ねずみとり』『蜘蛛の巣』などと並んで、いまなお世界中で上演され続けている不朽の名作。緊迫感あふれる台詞の応酬、次々に意外な方向に転がっていく展開が、観る者を魅了してやまない最高峰の法廷劇だ。

 そんな作品で、資産家の老婦人殺しの容疑をかけられる青年レナードの妻、ローマイン役を演じる瀬奈じゅんが、出演を念願していたという作品の魅力、小川絵梨子演出に受ける刺激、更に、夫役のジャニーズWESTの小瀧望、検察・マイアーズ役を演じる成河に感じる魅力などを語ってくれた。

心理戦と駆け引きが素晴らしい戯曲

拡大瀬奈じゅん=岩田えり 撮影

──この作品に出演するのが夢だったとコメントされていらっしゃいましたが、改めて出演が決まった時のお気持ちから教えて下さい。

 とても興奮しました。『検察側の証人』という作品が本当に好きだったので、それに出られる喜びが大きかった上に、演出が小川絵梨子さんと伺って鳥肌が立ちました。

──そこまでこの作品が瀬奈さんを魅了したのは?

 ご覧になる方にできるだけ新鮮に楽しんでいただきたいので、どこまで言っていいものかが悩ましいのですが(笑)、登場人物ひとり一人の駆け引き、心理戦が素晴らしくて! 戯曲として本当によく出来ているなという印象です。さすがアガサ・クリスティと思っています。

拡大瀬奈じゅん=岩田えり 撮影

──そう感じられたはじめは原作戯曲をお読みになったのですか? それとも過去の上演をご覧になった?

 25年ほど前、宝塚歌劇団在団時に上演された舞台を観に行ったのが最初です。もう本当に心が揺さぶられて「この舞台にいつか出たい!」と興奮したのを鮮明に覚えています。舞台上に客席を設けていて、当日並んで当たった人だけが傍聴人のような形でその席に座れたんです。私はあまりにも感動して、初めて観に行った翌日にその席に座りたくて並んだんですけど、入れませんでした。

──そこまで感動されたんですね!

 はい。ですから観たあとに戯曲を読みました。というのが、私はあまりにもドキドキしてしまって、ミステリーって読めないんです。主人が東野圭吾さんの大ファンで、家に山ほど作品が並んでいるのですが、いくら「面白いよ!」と言われても怖くて読めなくて! 読む時には、主人からあらすじから結末まで全てを聞いてから読みます(笑)。そうすると緊張せずに読めますし、「この人はだからこういうことを言ったのか」と考えながら読めるのが好きなんです。それが舞台になると、やはり同業者でもあるので、結末がどうなるのか? のドキドキだけに捉われない楽しみ方ができるんですよね。ですからこの作品も舞台で結末を知っていましたから、戯曲も楽しんで読み進めることができました。

──再読に耐えることが一番良いミステリーとはよく言われますよね。結末を知ってから、「ここにブラフがあったのか!」と答え合わせをしながら読んでも面白いものが傑作だと。

 私の場合はどの作品もその読み方しかできないのですが(笑)、アガサ・クリスティの戯曲のなかでもこの作品が一番好きです。張り詰めたものが最後まで続いていくのがすごいと思います。

◆公演情報◆
『検察側の証人』
東京:2021年8月28日(土)~9月12日(日) 世田谷パブリックシアター
兵庫:2021年9月16日(木)~9月20日(月・祝) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
大阪:2021年9月23日(木・祝)~9月28日(火)  枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール
公式ホームページ
[スタッフ]
作:アガサ・クリスティ
翻訳・演出:小川絵梨子
[出演]
小瀧 望(ジャニーズWEST)  瀬奈じゅん/大滝 寛 浅野雅博 寺西拓人 斉藤直樹
林 愛夏 西川大貴 阿岐之将一/那須佐代子 梶原善/成河
 
〈プロフィール〉
 1992年宝塚歌劇団入団。2005年『JAZZYな妖精たち/REVUE OF DREAMS』で月組トップスターに就任。2009年『ラスト プレイ/Heat on Beat!』で宝塚歌劇団を退団。退団後は、舞台を中心に映像作品にも活躍の場を広げる。最近の主な舞台出演作品は、『現代能楽集Ⅹ『幸福論』~能「道成寺」「隅田川」より』『黄昏』『ラ・マンチャの男』『細雪』『サムシング・ロッテン!』『シティ・オブ・エンジェルズ』『エニシング・ゴーズ』『FUN HOME ある家族の悲喜劇』など。2012年に菊田一夫演劇賞 演劇賞、岩谷時子賞 奨励賞をW受賞。
瀬奈じゅん公式ホームページ

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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