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黒川紀章設計「カプセルタワー」再生に新展開

中銀カプセルタワービル、美術館への寄贈や「移動」を目指す

神田桂一 フリーライター

SF的でレトロ、海外でも人気、無二の存在

拡大夕闇の中の中銀カプセルタワービル

 ――外観も内装も、「映え」ますよね。

 前田 撮影で使いたいという依頼は多いです。タレントの写真集やファッション写真、ミュージックビデオ、テレビのバラエティー番組など多岐にわたり、建築ファン以外にも広がりがあることを実感しています。

 ハリウッドの映画にもよく登場します。X-MENシリーズの『ウルヴァリン:SAMURAI』では、実際はサイズの問題があってオーストラリアに大きめのカプセルを作って撮影されたのですが、外観などはちゃんとロケしていました。先ごろ公開された『ブラック・ウィドウ』にも登場して話題になりました。SF的で、レトロな感覚もある。唯一無二の存在なので。

 ――それでも解体は決定的ですか?

 前田 はい、残念ですが。

 建物をどうするかは管理組合総会で決まるため、これまでは「保存派」のオーナーを増やす活動をしてきました。一方で、見学会などの開催を通して、ビルの魅力を広く知ってもらう情報発信などを続け、手応えを感じていました。

 しかし、コロナ禍の中、保存派のオーナーが徐々に減ってきました。建物は35年間大規模修繕を行っていないため、老朽化の危険性を考える必要もあります。管理組合は2021年3月に敷地売却を決議しました。まだスケジュールは決まっていませんが、ビルは解体の方向です。

 そのため現在は、ビルの記録を本にまとめることと、解体の際にカプセルを取り外して、われわれプロジェクトが引き取り、活用する計画を進めています。黒川紀章建築都市設計事務所の協力を得ながら、様々な再生案を検討しているところです。その資金の一部に充てるため、2021年8月31日までクラウドファンディングを実施しています。

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筆者

神田桂一

神田桂一(かんだ・けいいち) フリーライター

1978年、大阪生まれ。関西学院大学法学部卒。一般企業勤務から週刊誌『FLASH』の記者、ドワンゴ『ニコニコニュース』記者などを経てフリー。カルチャー記事からエッセイ、ルポルタージュまで幅広く執筆。著書に『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(宝島社=菊池良と共著)など。2021年11月下旬に『台湾対抗文化紀行』(晶文社)を刊行予定。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです