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『週刊文春』の車内吊り広告終了から見える週刊誌界の大きな変化

ネット配信の“独立”、紙とデジタルの収益バランス

篠田博之 月刊『創』編集長

週刊誌のネットニュースが自立したメディアに

『週刊文春』2021年8月12日・19日合併号の中吊り広告拡大『週刊文春』2021年8月12日・19日合併号の中吊り広告

 もうひとつ作り手の側が、やめる理由として強調しているのは、車内吊り広告の締切(校了)が、例えば木曜発売の『週刊文春』の場合だと月曜日にやってくるという事情だ。配送や掲出に時間がかかるからどうしても締切は何日か前にせざるをえない。そうなると、同誌の場合、デスクが日曜夕方に集まって、全体のラインナップを確定させることになるという。

 しかし、『週刊文春』の誌面の校了は火曜日で、月曜に起きた大事件、場合によっては火曜日に起きた事件も急遽、入れ込むことがある。でも車内吊り広告にはそれは間に合わないのだ。そのことが編集上、いろいろな影響をもたらしていたのは明らかだろう。

 紙のメディア全盛のころには、紙の流通の時間を想定して締切を早めに設定するというのは当然だったし、車内吊り広告の締切もそのまま受け入れられてきた。しかし、これについてもこの何年か、大きな変化の波が押し寄せつつある。

 例えば木曜発売の『週刊文春』『週刊新潮』『女性セブン』はいずれも、現在、前日の水曜の午後4時をめどに翌日発売の内容をネットで発信する。

 それぞれ「文春オンライン」「デイリー新潮」「NEWSポストセブン」という強力なデジタル媒体を持っており、そこで翌日発売のスクープを発信する。ニュースや事件報道に力を入れている3誌だから、政治や芸能スキャンダルが水曜夜から業界を駆け回るという例が多い。『週刊文春』と『週刊新潮』が政治スキャンダルを連続して報じた時期には、毎週水曜夜に永田町が揺れるという事態が続いた。

 ところが、この週刊誌のネットニュース発信にも、このところ大きな変化が生じている。

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筆者

篠田博之

篠田博之(しのだ・ひろゆき) 月刊『創』編集長

1951年生まれ。1982年に創出版を設立。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。専門はメディア批評。著書に『皇室タブー』(創出版)、『ドキュメント死刑囚』(ちくま文庫)、『和歌山カレー事件 獄中からの手紙』(共著、創出版)、『生涯編集者』(創出版)など。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです