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“密フェス”への不快感と、アーティストと大村県知事の一筋の光

印南敦史 作家、書評家

避けられない責任

 それから1週間後の8月29日、愛知県常滑市のアイチ・スカイ・エキスポにおいて、一大ヒップホップ・フェス「NAMIMONOGATARI2021」が開催された。2005年の初回以来、場所を何度か変えながらも続けられてきた、ヒップホップ・シーンにおいては知られた大規模フェスである。

 余談ながら常滑は、若くして世を去った伝説のラッパー、TOKONA-Xの育った地だ。そういう意味でも感慨深いものはあった。

 しかも今年はZeebraを筆頭とする大御所からBAD HOP、JP THE WAVYなど勢いのある若手までが総動員されており、6月下旬の時点でラインナップを確認しただけでも、参加アーティストは現在の国内ヒップホップ・シーンを総なめしたかのような豪華さと感じた。

 とはいえコロナ禍であるだけに、おそらく開催されないことになるのだろうと個人的には予測していたのだ。同じような思いを抱いていた人は、決して少なくないのではないかと思う。

 ところが、意外なことにフェスは開催された。しかも対策を講じていたという運営会社の弁解とは裏腹に実際はズブズブで、会場は過度の密状態。SNSに続々とアップされた動画を確認する限り、ノーマスクでビール瓶を片手に踊りまくっているような観客も多く、対策の「た」の字もないような状態であった。ひとつの基準に多くの人々が賛同したフジロックとは対照的な結果である。

「密」なうえに酒が提供されていたフェス「NAMIMONOGATARI2021」=愛知県常滑市、読者提供拡大「密」なうえに酒が提供されていたフェス「NAMIMONOGATARI2021」=愛知県常滑市、読者提供

 さて、こうなると避けられないのが責任問題。必然的に、炎上の対象となるのは以下の3者だ。

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筆者

印南敦史

印南敦史(いんなみ・あつし) 作家、書評家

1962年、東京生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ダ・ヴィンチ」「ライフハッカー(日本版)」「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.JP」「WANI BOOKOUT」など、紙からウェブまで多くのメディアに寄稿。著書に『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『書評の仕事』 (ワニブックスPLUS新書)など多数。新刊に『遅読家のための読書術──情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、読書する家族のつくりかた──親子で本好きになる25のゲームメソッド』(星海社新書)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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